メタとマイクロソフト、AI投資の評価で株価に明暗-29日決算に注目

米国株式市場で人工知能(AI)投資への懸念から1兆ドル(約155兆円)近い時価総額が消失した27日、メタ・プラットフォームズ株価は最高値を更新した。これは同社のAI戦略に対する投資家の信頼の表れと言えそうだ。

  メタの株価は金融市場を見舞ったDeepSeek(ディープシーク)ショックにも動じなかった。DeepSeekのAIモデルは、メタの「ラマ」と同じくオープンソースだ。足元でメタ株価が好調に推移しているのとは対照的に、マイクロソフトの株価は巨額のAI投資への懸念から低空飛行が続く。同社はDeepSeekと競合するオープンAIに出資している。

  両社とも29日に決算の発表を予定しており、AI投資のリターンに大きな注目が集まりそうだ。

  投資会社ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は「メタはAIに関して、マイクロソフトよりも長期的に有利な立場にあり、DeepSeekの成功は同社のオープンソース戦略を裏付ける」と話す。その上で、米企業が中国発のAIモデルを使ってインフラを構築するとは考えにくいため、ラマは「西洋のDeepSeek」となる可能性があるとの見方を示した。

上からメタ株価、ナスダック100指数、マイクロソフト株価の推移

  マンスター氏によると、AIがエンゲージメントと広告にプラスの影響をもたらすとの見方から、投資家はメタの投資を評価している。半面、「マイクロソフトのAI戦略はここ数カ月に明確さが薄れており、AIによって即効性のある効果はそれほど期待できなくなっている」と同氏は述べた。

  メタは年初来14%上昇と、65%を超える値上がりを記録した昨年からさらに上値を伸ばしている。今月はハイテク7社で構成する「マグニフィセント・セブン」で値上がり率トップだ。一方、マイクロソフトは年初来2.8%上昇。2024年は12%の値上がりにとどまっていた。

  両社ともAI投資を継続する意向だ。メタは24日、AI関連のプロジェクトに今年、最大650億ドルを投じる計画だと明らかにした。これは市場予想の513億ドルを上回る規模だ。マイクロソフトも今年度(2025年6月終了)、データセンターの建設に800億ドルを投じる計画を示している。

  メタの支出は良くも悪くも、長らく投資家の注目点だった。2022年には、メタバース構築への大型投資についてマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が正当化できず、同社の株価は64%下落と、過去最大の下げを記録。しかし、「効率化の年」の一環としてコスト削減を進めた結果、株価は再び上昇基調に転じた。ウォール街もAI投資にはおおむね肯定的な見方を示している。

  メタ株価はここ数四半期に大きく値上がりしており、今回の決算でクリアすべきハードルは上がったかもしれない。だが、バリュエーションは相対的に割安で、下落リスクをある程度、低減する可能性がある。

  足元でマイクロソフトの予想株価収益率(PER)は30倍余り。長期平均を上回るとともに、ナスダック100指数の26倍も上回っている。一方、メタの予想PERは24.6倍。10年間の平均をわずかに上回る程度で、かつ大型株ではアルファベットを除き最も割安な水準にある。

原題:Meta and Microsoft Show AI Spending Can Be a Double-Edged Sword(抜粋)

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