自転車"ながらスマホ"は反則金1.2万円 警察庁がルールブック公開
警察庁は、2026年4月から施行予定の、自転車への交通反則通告制度(青切符)について、その内容を解説したルールブックを公開した。 【この記事に関する別の画像を見る】 自転車に関する一定の交通違反に対して、交通反則通告制度を導入する「道路交通法の一部を改正する法律」(令和6年法律第34号)が導入されるもので、自転車の交通違反で検挙された後の手続を大きく変更。違反に対しては、これまで自動車を対象としていた「青切符」制度を適用し、反則金を徴収する。青切符の適用は16歳以上が対象。 これまで自転車の交通違反が検挙された場合は、「赤切符」等による手続が行なわれ、警察による捜査のあと、検察官が起訴・不起訴の判断を行ない、裁判を行なうかどうかを決定していた。有罪になれば罰金を納付する必要があり、「前科」も付いた。 ただ、こうした手続は煩雑で時間も掛かることや、検察に送致されても不起訴とされることがあり、実態として違反者に対する責任追及が不十分であることが指摘されていた。 しかし、近年、自転車に関する交通事故の情勢が厳しく、自転車の法令違反も多発している現状をうけ、より一層の交通ルール遵守を促進するため青切符制度を導入する。 青切符では前科はつかないものの、手続が簡便になり、反則金の徴収も合わせ、実効性のある責任追及が可能となる。今後は違反の実情に合わせて、指導警告や青切符、赤切符等での処理が行なわれることになる。 取締の基本的な考え方としては、自転車の運転者による反則行為のうち、交通事故に繋がる危険な運転行為や、警察官の警告に従わず違反行為を継続した場合など、悪質な行為が取締の対象となる。 一方で、単に歩道を通行しているといった違反については、これまでと同様、通常は「指導警告」のみが行なわれる。青切符導入後もこの方針は変わらない。ただ、スピードを出して歩道を走行し、歩行者を驚かせた場合などは取締の対象となる可能性はある。 自転車の歩道走行ルールについては従来と変わらず、下記の通りになる。 ・道路標識・道路標示で歩道を通行することができるとされているとき ・13歳未満の方若しくは70歳以上の方又は一定の身体障害を有する方が運転するとき ・車道又は交通の状況に照らして、自転車の通行の安全を確保するため、自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき 道路工事や連続した駐車車両等のため車道の左側を通行することが難しい場合、著しく自動車の交通量が多い、車道の幅が狭いなど、通行すると事故の危険がある場合は自転車も歩道を走行することが可能。ただし、歩道の中央から車道寄りを徐行する必要があり、歩行者の通行を妨げないことが求められる。 ■ "ながらスマホ"の反則金は最も高額 具体的な反則行為としては、車道の逆走や一時停止違反、歩行者がいる場合の横断歩道での停止、自転車同士の並走、二人乗り、無灯火など、従来は指導警告のみだったものについて3,000円~6,000円の反則金が適用される。 周りの音が聞こえない状態でのイヤフォンをしながらの運転や、傘を差しながらの運転については、現在は公安委員会が全都道府県で禁止しているが、現状は罰金などはない。青切符導入後は、こうした違反に対して「公安委員会遵守事項違反(反則行為)」として警察が取り締り、反則金5,000円の対象となる ただし、イヤフォンを片耳のみに装着している場合や、オープンイヤー型イヤフォン、骨伝導イヤフォンなど、装着時に利用者の耳を完全に塞がないものについては、安全な運転に必要な音や声が聞こえる範囲において、違反にならないとしている。 スマートフォンのながら運転については、2024年11月の道交法改正により、従来でも事故を起こした場合等には刑事罰による厳しい罰則が科され、スマートフォンを見ているだけの場合でも罰則の対象だった。しかし、赤切符のため煩雑な刑事手続が必要になることから、単にスマートフォンを見ているだけの違反者を取り締まるのは、現実的に難しかった。 青切符導入後は、手に保持して通話していたり、画面を注視しながら運転していた場合でも、「携帯電話使用等(保持)(反則行為)」として、反則金12,000円の対象となり、迅速な対応が可能になる。これは自転車の反則金で最も高額になる。 なお、携帯電話やスマートフォンを使用しながら実際に事故を起こしたり、歩行者の通行を妨害するなど交通の危険が発生した場合は、「携帯電話使用等(交通の危険)」として、1年以下の禁固刑か30万円以下の罰金となる。
Impress Watch,清宮信志