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4月23日、群馬クレインサンダーズはサンロッカーズ渋谷をホームに迎えて対戦した。3月5日の同対戦では51-82と大敗を喫したが、この試合では序盤からディフェンスが機能して72-56の完勝を収めた。
群馬は試合開始から3ポイントシュート攻勢でリズムをつかむ。辻直人、トレイ・ジョーンズ、藤井祐眞が連続で長距離砲を沈めると、開始から約6分間に渡ってSR渋谷の得点をわずか3得点に抑えてリードを築いた。
後半に入ってもその勢いは衰えず、最大20点のリードを奪い、一度も相手にリードを許すことなくホーム最終戦を白星で飾った。
試合後、カイル・ミリングヘッドコーチは、攻守に渡って自分たちのバスケットを遂行した選手を次のように評価した。「集中力がありました。最後のホームゲームですし、チャンピオンシップにたどり着きたい気持ちなどいろんな要因があってのことですが、今日の勝利は必要なものでした」
群馬は2月の中断期間に入るまで27勝10敗という好成績をおさめ、東地区2位をキープしていた。しかし、中断期間が明けた3月からこの試合を迎えるまでに8勝10敗と大きく成績を落とし、ワイルドカード枠に陥落した。
この要因の1つは、現役ドイツ代表であるヨハネス・ティーマンの離脱だった。ディフェンスに重きを置いて戦う群馬にとって、インサイドの要であるティーマンの存在は大きいものだ。もちろんそれを言い訳にする選手やコーチはいないが、誰もが早期復帰を願っていたはずだ。
そして、この試合でティーマンがコートに帰ってきた。出場時間は15分14秒と抑えられ、スタッツも無得点4リバウンド3アシスト2スティール3ターンオーバーと本来の彼からすると物足りないものに。動きやチームメートとの連携を見ても万全ではなかった。
ミリングヘッドコーチはそれを理解した上で、先を見越して彼を起用したと明かす。「復帰しましたが、まだトップの状態ではありません。練習だけでコンディションを戻すのは簡単ではないので、 試合で本来の調子に戻ってくれたらと思います。まずは全員が揃ったことが良かったです」
キャプテンの辻は、ティーマンの復帰に安堵の表情を浮かべた。「本当に良いタイミングで復帰してくれました。チーム練習もゲームライクにできていないので、フラストレーションはあったと思いますが、チャンピオンシップに向けてまだ4試合ある。あせらずに完全復帰してくれたらチームにとってプラスしかないです」
「ディフェンスを一段階上げることでチャンピオンシップにたどり着く」
ティーマンは縁の下の力持ちで、目立ったスタッツを挙げずとも攻守に渡りチームを支え、必要とあらば20得点以上を挙げられるチームプレーヤーだ。彼が離脱している間にインサイドを支えた野本建吾や八村阿蓮の奮闘は讃えられるべきものだが、外国籍選手3枠のうち1つを失う、苦しい期間となったは事実である。
ティーマン自身は、成績が伸びないチームをどのような胸中でコート外から見ていたのだろうか。ティーマンは言う。「プレーできないこと自体がすごくフラストレーションにもなりますし、チームの助けにはなりたいけれども自分にできることがない、もどかしい状況でした」
そして、ケガをした足は現在「完全な状態」だが、「タフなスケジュールが続いている中で、コンタクトをしっかりする練習ができなかったので、バスケのリズム感を戻すことができませんでした」とも話した。
群馬はこれで36勝20敗。レギュラシーズン4試合を残してチャンピオンシップ進出のマジックは2となったが、残り試合はすべてアウェーゲームで、次節はリーグ首位の宇都宮ブレックスと対戦する。ティーマンは「コートに戻れたことは嬉しいですが、これから集中しなければならない試合が目の前にあるので、そこに向けて準備する気持ちが強いです」と語る。
「オフェンスはみんなでボールをしっかり回すことが大事です。今日はよかったですが、みんなでオフェンスを作り上げることを意識していきます。また、今日のディフェンスは100%かと言われるとそうでもないです。自分たちはディフェンスのチームとずっと言い続けているので、もう一段階レベルを上げてしっかり遂行することがチャンピオンシップにたどり着くために必要なことです」
ティーマンがコートインするというアナウンスが入ると、勝利の瞬間にも匹敵するほどの歓声が響き渡った。復帰に涙するファンもいた。そのことをティーマンに伝えると、驚きの表情を笑顔に変えてファンへの感謝の気持ちを語った。
「コートに出たときに、たくさんのファンが応援してくれたので嬉しかったです。これだけたくさんのファンが会場に来てくれることは、日本に来るまでは想像していなかったのでビックリしました。いつも後押しを肌で感じているので、群馬のファンはベストです」