「順調」巨人・岡本和真が8月中旬復帰に照準 80日ぶり打撃練習で右へ左へ70スイング「順調に段階を踏んできてる」
感覚を呼び起こすように岡本は丁寧にバットを振った。G球場の室内練習場。負傷後初めて打撃投手が投じた球を打ち込んだ。広角に打ち分けながら70スイング。静まり返った空間に響く打球音と、手に伝わる久しぶりの感触が心地よい。衝撃に対する患部の反応も心配ない。離脱後初、80日ぶりとなる本格的な打撃練習を終えた主砲は「疲れましたね」と白い歯をのぞかせ、気持ちよさそうに汗を拭った。
「大丈夫。順調に段階を踏んできてるんじゃないかなと思います」
午前中にノックなどを行うと、他の選手がいなくなった12時30分過ぎにトレーナーらと室内の打撃ケージへ。力みのないスイングから右へ左へライナー性の打球を飛ばしていった。最後の一球では右中間方向へライナー性の当たりを放ち、患部の左手一本でのフォロースルーを決めた。
「距離感とか感覚的にはズレはあるけど、ここからかな」。報道陣に見えない場所で強度を抑えながらの打撃などは行ってきたが、これまでより開けた空間で打つことで実戦を意識しつつ現在地を確認できたことが収穫。「時間もないですし、オフシーズンじゃないので」とさらなる前進を見据えた。
長い道のりだった。開幕からチームをけん引していたが、5月6日の阪神戦(東京D)でそれた送球を捕球した際に、打者走者の中野と交錯して左肘を負傷。「左肘じん帯損傷」と診断され、戦線離脱を余儀なくされた。患部を包帯で巻いた姿でリハビリをスタート。そこからキャッチボールやノック、ベースランニングなどを再開し、打撃練習にもこぎ着けた。
全治3か月と見込まれていた状況で、かねて8月中の実戦復帰を照準に定めてきた。今後は患部の状態などを慎重に見極めながら強度を上げていくことになる。屋外でのフリー打撃などのステップを順調に踏むことができれば、早ければ8月中旬での1軍復帰の可能性も見えてきた。焦りは禁物だが、一歩ずつ階段を上っていく。
現在チームは阪神から10差の3位。首位に食らいついていければ、唯一無二の大黒柱の復活が逆襲を加速させることは間違いない。頼りになる背番号25の帰還が徐々に近づいてきた。(宮内 孝太)
◆G岡本の負傷とリハビリ経過
▽5月6日 阪神戦(東京D)の一塁守備で、それた送球を捕球した際に、打者走者の中野と交錯して左肘を負傷。その後「左肘じん帯損傷」と診断された
▽5月22日 包帯を外し、サポーターのみを着用して初めて練習。約30メートルの距離でのスローイングを確認した
▽6月12日 グラブをつけてキャッチボールを行い、ノックを再開
▽7月12日 負傷後初めてベースランニングを実施。一塁への駆け抜けや二塁から本塁への走塁を確認。三塁の位置でフリー打撃の打球も処理した