長友佑都は今後も呼ぶ必要はあるのか? 「個で戦えないとW杯では戦えない」サッカー日本代表に迫る決断のとき【E-1選手権】
【写真:田中伸弥】
キャプテンとしてサッカー日本代表を大会連覇へと導いた長友佑都
サッカー日本代表は15日、東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国の第3戦で韓国代表と対戦し、1-0で勝利を収めた。大会連覇という結果を残した日本代表をキャプテンとしてまとめたのは長友佑都。ピッチ外では大きな存在感を示したが、FIFAワールドカップ26(W杯)に向けて今後も招集し続けるとなると、疑問符が付く。
W杯アジア最終予選でもプレーした選手たちも多い韓国代表を相手に、後半は攻め込まれながらも粘り強く戦って勝ち切った日本代表。オール国内組で、最終予選を戦ったメンバーがほとんどいない急造チームだったが、日を追うごとに結束は強くなり、全勝優勝は今後につながる大きな成果となった。
その輪の中心に長友がいたことは間違いないだろう。特に若い選手たちは長友の姿勢を間近で見ることで刺激を受けていた。例えば綱島悠斗は「佑都さん、何時に起きるんですか?」と聞き、練習外でも密着マーク。文字通り一挙手一投足を見て学んでいたという。
最終予選では出番に恵まれない選手もいたが、同じ境遇でも全く腐らない長友の姿勢を見て刺激を受けた選手も多かった。その存在と言動が、チームにとって間違いなくプラスに働いている。
ここから日本代表は次なるフェーズへと入る。W杯優勝という目標にフルコミットしなければいけなくなったとき、長友を今後も呼び続ける意味はあるのかどうかが問題となる。
もちろん、4大会連続W杯出場という実績は何にも代えがたい功績だ。下馬評を覆して躍進した南アフリカ大会も、最強と謳われながらも惨敗したブラジル大会も、直前の監督交代で揺れながら決勝トーナメントに進んだロシア大会も、強豪を撃破してベスト8にあと1歩まで迫ったカタール大会も長友は知っている。欧州の第一線で活躍する選手たちが大半を占める中でも、W杯での経験値という意味では長友に比肩できる選手はいない。
もちろん、そういった経験を持つ選手の必要性自体を否定するものではない。前回大会では東京五輪世代を中心に、多くの主力選手が初めてW杯の舞台に立った。その中で川島永嗣や長友佑都といったベテランは大きな役割を果たしたはずだ。ただ、1年後に迫る北中米大会は前回大会を知るメンバーも多くなることが予想される。
1選手として見たときはどうだろうか。950日ぶりの出場となった中国代表戦は、健在をアピールする最大のチャンスだったが、少なくともこれからも呼んでほしいと思わせる内容ではなかった。
中国代表戦では3バックの左でプレーした。「精度もそうですし、能力、本当に単純な能力を伸ばさないといけない。チームのプラスアルファにならないんで。チームの戦術に甘えちゃダメ」と長友は言う。
「やんなきゃいけないことが多くて、伸ばしていかないといけないことが多くて。もう時間が足りないぐらいですね」
「個で戦えないとW杯では戦えない」とは長友が自身に向けて言った言葉。5回目の大舞台を本気で目指しているからこそ、自身が置かれた状況は誰よりも理解しているのだろう。
前回大会の川島のように、第3GKという立ち位置は例外として、ピッチ内での役割を無視してフィールドプレーヤーの1枠を割くというのは賢明な判断ではないだろう。森保一監督はW杯では2チーム分の戦力、選手層が必要と言い続けてきたが、その大事な1枠を長友に使うのはベターではない。
佐藤龍之介のような若い才能が、残り1年で大きく飛躍する可能性はあるが、9月に39歳となる長友がここから大きく力を伸ばす姿を想像するのは難しい。
これまでの長友の功績には、心から賛辞を贈らなければいけないし、最大限のリスペクトを払いたい。声高に長友不要論を煽りたいわけではない。ただ、日本代表がW杯優勝を本気で考えているからこそ、決断を下す必要があるのではないだろうか。
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