3メガ銀が今期純利益予想を増額、ともに自社株買い-金利上昇や株高で
- MUFGと三井住友FGは3期、みずほは2期連続で最高益更新
- 政策保有株の売却益剥落後、新たな収益柱の構築が課題に
3メガ銀行グループは14日、今期(2026年3月期)の連結純利益予想をそろって上方修正した。国内金利の上昇を受け資金利益が拡大するほか、株式相場の上昇を背景とした政策保有株の売却益などが上振れ要因となる。
今期予想は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が2兆1000億円(従来予想2兆円)。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は1兆5000億円(同1兆3000億円)。みずほFGも1兆1300億円(同1兆200億円)に増額した。
25年4-9月期累計の純利益合計は2兆9164億円で、通期予想に対する進捗(しんちょく)率は3社ともに6割超となった。同期間の純利益は3社とも過去最高を記録した。
日本銀行が追加利上げのタイミングを探る中、企業向け融資など本業の貸し出し業務からのさらなる利益拡大が見込まれる。日経平均株価が9月に4万5000円に上昇し、その後5万円台に乗せる動きを示している株式相場の上昇も利益を押し上げる。最高益更新はMUFGと三井住友FGが3期連続、みずほは2期連続となる。
好調な業績を受け、MUFGは2500億円(発行済み総数の1.08%)、三井住友FGは1500億円(同1.3%)、みずほは2000億円(同2.4%)の自社株買いを実施する。
みずほFGの木原正裕社長は「顧客・市場部門とも堅調に推移し、引当金の戻入益、政策株売却もあり、手応えを感じる決算だった」と振り返った。その上で「企業の設備資金が出始めている。いろんな投資も始まる」と述べ、今後にも期待感を示した。
三井住友FGの中島達社長は、トランプ米大統領の関税政策について、「世界的な景気後退のダウンサイドシナリオは後退した」との認識を示した。MUFGの亀澤宏規社長は、今後の重点投資先として「アジア、米国、デジタルとアセットマネジメントに成長投資を振り向ける」と述べた。
MUFGの亀澤氏は日銀の金融政策について、日本の10年国債への投資では「1%後半から1.7%辺りは相応には買っていけるレベルだ。ただ、中立金利が不透明なので慎重にポジションを作る」と話した。また、過度な円安は「国力やファンダメンタルズに影響を与える」と指摘した。
ただ、売却を進めている政策保有株については各社で最終段階にあり、売却益が剥落(はくらく)した後の収益の柱をどう育てるかが課題だ。
— 取材協力 Taiga Uranaka