初出場・東海大相模を国立4強に導いた172cm“ボランチ出身”CB石井龍翔「また努力してここに帰ってきたい」
3位のトロフィーを手にするDFDF石井龍翔(写真協力『高校サッカー年鑑』)
[1.11 選手権準決勝 流通経済大柏高 1-0 東海大相模高 国立]
センターバック転向1年目、172cmと小柄ながらも安定した守備を見せ続けたDF石井龍翔(2年=FC AIVANCE YOKOSUKA)が初出場・東海大相模高の4強入りに大きく貢献した。準決勝では流通経済大高に0-1で競り負けたが、最後は「手応えはあったので、また来年ここに戻ってこられたら」とすがすがしく総括。最高学年でのリベンジを誓った。
昨季はボランチで関東ROOKIE LEAGUE優秀選手に選ばれた石井だが、今季は状況判断力に支えられたカバーリングと技術を活かしたビルドアップの能力を買われ、センターバックでの挑戦をスタート。長身で対人に強いDF塩田航央(2年)との同級生CBコンビで、史上初めて東海大相模高を夏冬全国に導く偉業を牽引した。
選手権神奈川県予選では準決勝で日大藤沢高(◯0-0、PK4-2)、決勝で横浜創英高(◯2-0)を完封。全国に入っても東北学院高(◯2-0)を無失点に抑え込んだ他、他の3試合でも一度も複数失点は許さず、安定した守備陣を構築し続けた。「もともと1年生の時にボランチだったけど、塩田からアドバイスをもらいつつ自分なりにCBとして成長できたと思う」。準決勝の唯一の失点もPKによるもので、「楽しんで終われた」と手応えを深める2週間となった。 その結果、チームは初出場で3位入賞を達成。「神奈川という激戦区を勝ち切ってきた自信はあったので、思い切りやろうとチームとしてやってきた。ここまで来られたのはみんなのおかげ」。そう謙虚に振り返った石井だが、昨季は県予選のメンバー外という立場とあり、「今年は予選から出ることができて、ここまで来られたのは努力が実ったと思う」と自らを労うことも忘れなかった。 地元のFC AIVANCE YOKOSUKAから全国選手権未出場の東海大相模に進学した頃には、2年時の国立出場は「想像もしなかった」と石井。それでも「中学でやっていた時にスタイルが似ていたし、(有馬信二)監督も強いお誘いをしてくれたので行ってみようと思った」と選んだ場所で見事に結果を出し、「中学も有名なところではないし、誘ってもらったからにはしっかり結果を出したいと思っていた。ここまで来られてよかった」と充実感もにじませた。 もっとも、国立のピッチに立ったからには新たな野望も芽生えた。 「3年生がここまで連れてきてくれて、良い経験ができたので、この3位をどう思うか。そこは2位、1位につなげられると思うので、また努力してここに帰ってきたい」。次は再び激戦の神奈川県予選突破を目指す日々がスタートするが、国立のピッチに立ったという県内唯一無二の経験は大きな糧になるはずだ。 石井個人としては「自分としてはこのタッパじゃ大学を目指した時にやれないのかなと思うし、ゆくゆくはボランチでやっていきたい」というビジョンもある。それでもCBとして全国に通用したという実績は、未来を切り拓いてくれるはず。いまは「チーム状況を考えて監督が自分のことを考えてくれると思うし、自分はそれによってやることは変わらないので、チームのためにやっていきたい」と迷わず、任された役目を全うしていく姿勢だ。 来季は県内最大のライバルである日大藤沢高がリベンジに燃えてくるとみられ、チームとしては再びチャレンジャーの気持ちで臨むつもりだ。 石井は「日藤も裏選手権(NEW BALANCE CUP)を4位で終わっているので」と相手の情報もすでにチェックしており、「1年の頃に向こうはROOKIE LEAGUEで全国に出ていて力はあるので自分たちも負けないようにもっと成長できれば」と闘志をアピール。日大藤沢に進学した中学時代のチームメートであるMF佐藤慶太(2年)との再会にも「来年やりたいですね」と期待に胸を躍らせながら、期待の大きな新シーズンに向かう。 (取材・文 竹内達也)●第103回全国高校サッカー選手権特集▶部活生の足元を支える新素材!カンガルーレザーからSILKYWRAPへ