発売から4年経ったモニター『HUAWEI MateView 28.2』を未だ手放せないのはなぜか

 はじめまして。難波拓斗と申します。  普段は、主にYouTubeチャンネル「Nagomi-ke」で、日用品やガジェット、ライフスタイルについて紹介しています。 【写真】4年経っても色褪せない、唯一無二のデスクモニター『HUAWEI MateView 28.2』  コスパ、タイパ…と、何かと効率ばかりが求められがちな昨今ですが、忙しない日常を豊かにするのは美しさや情緒のある物事。『FOCUS THINGS』と題した当連載では、機能や利便だけに留まらない愛すべきガジェットたちにフォーカスし、豊かな暮らしのヒントをお届けします。  連載第一回で取り上げるのは、PC作業で使う「モニター」。しかし最初に断っておくと、こちらのモニターは生産終了品だ。新品では買えない製品を第一回から許可してくれるあたり、RealSound Techも器が大きい。  さて、その製品とは『HUAWEI MateView 28.2』。  発売は2021年8月なので、約4年前のモデルということになる。それでも今でも根強い人気を誇り、中古価格も少しずつ値上がっている。その魅力に魅せられた一人として、この製品の魅力を語りたい。 ◼︎プロダクトの圧倒的な美しさ  おそらく、まず多くの人々の目を引くのはその“プロダクトデザイン”だろう。  「モニターはスペック勝負では…」と思われるかもしれないが、デザインはかなり重要だ。そもそもこういった製品は大きく存在感があり、空間の印象を大きく変えかねない。だからこそ、見た目に惚れ込める一台というのは、一見の価値がある。  また、個人的に壁を背にしてデスクを配置するいわゆる「アイランド型」をとることが多いこともあり、そんな配置でも映える。このモニターはそんなアイランド型愛好家のニーズを満たしてくれるデザインである。  ディスプレイ部分からスタンドに至るまで、限りなく直線的に仕上げられたシルエット。横から見ると特に、そのメリハリと全体的な薄さが際立つ。  数枚の板を組み合わせたようなシンプルなシルエットは、デスク周りのスペースにおいて「家電っぽさ」を一切感じさせない。ここ数年で多くのメーカーにおいてモニターのデザイン性が向上したと感じているが、それでもなお一線を画しているように思う。  また、全体をシルバーで仕上げた筐体は、ベースとディスプレイフレームがアルミニウム合金で形成されており、まさに「洗練」という言葉が似合う。  あえて一点だけ不満を挙げると、裏面のロゴはもう少し主張が薄ければよかったかな、というくらい。それでも、満足感がはるかに上回る。 ◼︎操作部にも宿る美しさ  そして、デザイン性の高さは操作部にまで及ぶ。  多くのモニターでは、それぞれボタンを割り当てたり十字キーのようなインターフェイスにすると、どうしても見た目が野暮ったくなったり操作が複雑になったりしがちだ。  ところが『HUAWEI MateView 28.2』においては、これらをディスプレイの下に配した黒いライン「スマートバー」に触れることによって調整する。  これを用いることで、タップやスライドで直感的にモニターを操作ができ、モニター裏面のボタンを手探りで操作したり、大量のボタンを常に視界に入れずに済む。  まさに見た目にも美しく、それでいて使いやすいのだ。 ◼︎ミニマルさの秘密はスタンドにあり  それにしてもこのモニター、やっぱりどう考えても薄い。厚さは9mmほど。薄すぎる。この薄さを実現している理由はスタンドにある。  多くのPCモニターは本体に各種ケーブルを挿す入力部があるが、『HUAWEI MateView 28.2』においてはこれをスタンド部分が担っており、根元に電源供給やHDMIなどのインターフェースが集約されている。  そう、このモニターは「スタンド一体型」なのである。多くのPCモニターが対応しているVESA規格なんてなんのその、スタンドから外してモニターアームに装着するといったことはできない。  この点を嘆く人も多く、実際に自分のYouTubeで紹介した際にも「アームに取り付けられれば…」というコメントは一定数あった。  ただ、先ほど話した通りこの異常なほどの薄さはスタンドによって実現されていると捉えられる。ほかの多くのモニターと異なり、アームとの互換性を捨ててでもデザイン性を重視したことに価値を感じる。  といっても納得しない人もいるかもしれない。ということで、ここではこのスタンドを重ねて擁護しておきたい。  はっきり言って機能としては申し分ない。高さは11cmほど可動し、角度も前方に5度、後方に18度まで調節可能だ。  また、先述した通り根元にインターフェースがあることで、ケーブル類のデスク上への露出を最小限に抑えられる。モニターに挿したケーブルがぷらぷら浮かないようにアームに沿わせて…なんてことも考える必要はない。  つまり、アームと比較しても決定的な弱みは「下のスペースが空くか」くらいではないだろうか。さらに、最近のデスクアイテムとしては定番のシェルフ。これをモニター下に設置すれば、もはやスタンドは見えない。  これによって「薄い板のようなディスプレイが宙に浮いている」という、唯一無二のデスクを構築できるのだ。 ◼︎ディスプレイ性能には一癖あり  モニター本来の役割である画面としての性能について触れておこう。  サイズは28インチ、自分が至る所で説明している「最も使いやすいサイズ感」だ。事務作業でもクリエイティブ制作でも、どんなユーザーにも馴染みやすい。  やや癖があるのが「3840×2560」という解像度。「4K+」というだけあって、基本的な使用には問題ないが、この解像度だと画面の比率が「3:2」になるのだ。  これはメーカーとしての思想が表れたスペックで、「MateBook」シリーズといったノートPCも含め、画面の比率は「3:2」。HUAWEIはより広い画面スペースを楽しめるとしているが…正直なところ使い方次第だろう。  とくにこうした大型モニターにおいては、一度に表示できる情報量が多くなる一方で視点や首を動かさなければならない範囲が広がる可能性もある。自分は慣れたが、たまに通常サイズのモニターに戻ると楽に感じることもある。  が、デザインで選ぶのだから関係はない(?) ◼︎Studio Displayでも敵わない点  『HUAWEI MateView 28.2』とよく引き合いに出されるのが、『Apple Studio Display』。だが、既に言及したディスプレイ部分の薄さ、そしてベゼルの細さではこのモニターに敵わない。  『HUAWEI MateView 28.2』はできる限り端までディスプレイになっており、左右と上部のベゼルはわずか6mm程度しかない。この限界まで削ったベゼルによって、画面への没入感やプロダクト全体としての完成度が上がっているのだ。 ◼︎まだまだ現役の美モニター  発売から4年が経過しようとしている現在でも、根強いファンのいるこの『HUAWEI MateView 28.2』。販売終了後、後継機種にあたるような製品がないことが悔やまれる。  もちろん、今後ほかのモニターに乗り換える可能性もあり得るが、それでもこのモニターをそう簡単に手放すことはできない。それだけ、ただのガジェットという枠を超えて、自分にとって愛着のあるプロダクトとなっている。

難波拓斗

リアルサウンド
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