プーチン氏、米特使と会談 ロシア・ウクライナ直接交渉の可能性議論

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ロシアのプーチン大統領は25日、米国のウィットコフ中東担当特使とモスクワで会談した。停滞するウクライナ停戦交渉について協議し、ロシアとウクライナの直接協議の可能性などについて議論した。

ロシア国営テレビはプーチン氏のほか、ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)と米国との経済協力を担当するロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁が同席する会談の冒頭映像を放映した。ロシア側は米国との外交関係の改善や対ロ制裁の緩和・解除を視野に入れているもようだ。

会談は約3時間続いた。ウシャコフ氏は終了後に記者団に会談は「建設的だった」と述べたうえで「特にロシアとウクライナによる直接交渉再開の可能性を議論した」と説明した。他の国際問題についても、米ロの立場をより緊密にできたとして対話を続けるとした。

プーチン氏とウィットコフ氏の会談は、2025年1月の第2次トランプ政権の発足以来4回目となる。前回の会談は4月11日で、両者は約4時間半にわたってサンクトペテルブルクで協議した。

米ブルームバーグ通信は24日、ウィットコフ氏がプーチン氏との25日の会談でウクライナが自国の軍隊や防衛産業を保有する権利について認めるよう求める可能性があると報じていた。ロシアに一定の譲歩を促す狙いとみられる。

プーチン氏は3月の会見で米国が提案したウクライナでの停戦案について「紛争の根本的な原因を取り除くものでなければならない」などと述べた。

具体的な言及はしなかったものの、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟放棄やウクライナ東・南部4州からのウクライナ軍の撤退、同国軍の軍事力の縮小などを指すとみられる。

停戦協議の合意を急ぐ米国はロシアの主張に配慮した停戦案を提示している。米メディアなどによると、米国が17日にウクライナに提示した仲裁案には、ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ領クリミア半島の承認を盛り込んだ。NATOの加盟断念を求めるほか、対ロ制裁の段階的な縮小なども検討しているとみられる。

ウクライナや欧州は米国の提案に反発する姿勢を示している。ロイター通信は25日、ウクライナと欧州が米国に対案を示したと伝えた。領土交渉は停戦後に先送りするほか、ウクライナ軍の活動に制限を課さず強固な安全保障を提案する内容だとしている。米国の提案との相違は大きい。

ロシアは自国に有利な条件を引き出すための交渉を米国と続けつつ、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州の完全奪還を急いでいる。

ゲラシモフ参謀総長は19日の戦況報告で、クルスク州でウクライナが越境攻撃で制圧した地域の99.5%を奪還したと説明した。ウクライナにとっての交渉のカードとなるクルスク州の完全奪還で、同国に打撃を与える狙いとみられる。

欧米メディアによると、ロシア軍は24日にウクライナの首都キーウをミサイルやドローン(無人機)で攻撃し少なくとも12人が死亡した。ロシア国防省はウクライナの航空・宇宙産業や機械などを製造する企業を長距離兵器やドローンで攻撃し、目的を達成したと発表した。

米国は停滞する交渉にいらだちを強めている。トランプ大統領は24日、自身のSNSでロシア軍によるウクライナ攻撃を「不要で、タイミングが非常に悪い」と批判、プーチン氏に戦闘停止を求めた。停戦交渉をめぐり、一定の期限を過ぎれば「我々の態度は大きく変わる」と警告した。

25日にはロシアの首都モスクワ郊外で自動車が爆発し、ロシア連邦捜査委員会がロシア軍中将のモスカリク参謀次長が死亡したと発表した。ロシア外務省のザハロワ情報局長は同日、ウクライナの治安当局が殺害に関与したとみなす根拠があるとの声明を発表した。2国間の関係が悪化する中、ロシア軍高官の暗殺が相次いでいる。

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