「ガザ人道財団」が活動終了を発表 米国とイスラエルが支援、国連は拠点付近で数百人殺害されたと

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画像説明, 「ガザ人道財団(GHF)」が配給した食料が入った箱を運ぶ人たち(パレスチナ・ガザ地区、8月)

イスラエルとアメリカが支援し、今年5月下旬からパレスチナ・ガザ地区で援助物資の配給を行っていた「ガザ人道財団(GHF)」は24日、約6カ月間の活動の末、援助活動を縮小すると発表した。

GHFは、ガザ住民への主要な支援供給者となり、国連を迂回(うかい)して活動することを目指していた。一方、国連と他の支援団体は、その仕組みは非倫理的で危険だとして、協力を拒否してきた。

国連によると、GHFの拠点付近では混乱の中、食料を求めていた数百人のパレスチナ人が殺害されており、その大半はイスラエル軍の発砲によるものだという。イスラエルは、自軍が警告射撃を行ったと述べている。

GHFは24日、「緊急任務の成功裏の完了」を受けて活動を縮小していると発表。これまでにパレスチナ人に合計300万個の支援パッケージを届け、その中には1億8700万食以上に相当する食料が含まれていたと述べた。

GHFのジョン・アクリー事務局長は、ドナルド・トランプ米大統領の和平案を支援するために設置された「民軍調整センター(CMCC)」が、今後は「GHFが試験導入したモデルを採用し、拡大する」と述べた。

また、米国務省のトミー・ピゴット報道官はソーシャルメディアに、「(イスラム組織の)ハマスがもはや援助を略奪し利益を得ることができなくなったGHFのモデルは、ハマスを交渉の場に引き出し、停戦を実現する上で大きな役割を果たした」と書き込んだ。

物資略奪を否定しているハマスは、GHFの閉鎖を歓迎。ハマスの広報担当のハゼム・カッセム氏は、GHFはパレスチナ人に与えた被害について責任を負うべきだと述べた。

カッセム氏は、「我々は、国際人権団体すべてに対し、GHFが数千人のガザ住民の死傷を引き起こし、(イスラエル)政府が実施した飢餓政策を隠蔽(いんぺい)した後に、確実に責任追及を免れないよう求める」と、自身のテレグラム・チャンネルに書き込んだ。

イスラエルは5月半ば、ガザで深刻な日用品不足を引き起こした11週間の全面封鎖を部分的に緩和。GHFは、その1週間後の5月26日に活動を開始した。しかしその3カ月後、ガザ市で飢饉(ききん)が宣言された

ガザ南部と中部に設置されたGHFの食料配給拠点は、イスラエル軍の管理区域内にあり、アメリカの民間警備会社が運営していた。

国連とそのパートナーは、この仕組みは中立、公平、独立という基本的人道原則に反しており、切迫している人々を、軍事化された区域に誘導することは本質的に危険だと指摘していた。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、5月26日から7月31日までの間に、GHF拠点周辺で食料を求めていたパレスチナ人の少なくとも859人が殺害されたと報告。さらに、国連や他の援助車列のルート付近で514人が殺害されたと付け加えた。その大半はイスラエル軍によって殺害されたという。

イスラエル軍は、自軍が「脅威的な」態度で接近した人々に警告射撃を行ったと述べた。

GHFは、援助拠点での発砲はなかったとし、ハマスが運営するガザ保健省がまとめている「虚偽で誤解を招く」統計を使用しているとして、国連を非難した。

GHFの先行きは、ハマスとイスラエルがトランプ氏の和平計画の第1段階を実施するための停戦合意に達して以来、不透明な状態が続いていた。

GHFは、援助配給は「ハマスとイスラエルの両者からの干渉なしに、国連とその機関、赤新月社、さらにいかなる形でも関与していない他の国際機関を通じて行われる」と述べた。

国連のステファン・デュジャリック報道官は24日、GHFの閉鎖について、「我々は一切協力していなかったため、こちらの活動に影響はない」と述べた。

また、停戦が10月10日に発効して以来、ガザへの援助は増えているものの、人口210万人のすべてのニーズを満たすには「不十分だ」とも述べた。

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