FRB、量的引き締めの先行き語らず-ウォール街は相次ぎ予測修正
- BofAやバークレイズ、ゴールドマンがQT終了時期の予想先送り
- FOMCから情報ほとんど得られないのはいら立たしい-ドイツ銀行
米財務省が今月公表した無味乾燥な調査表の中に、ウォール街の関係者全員が答えを欲している項目が含まれていた。米連邦準備制度は経済危機時に膨らませた債券保有を縮小した後に、どういった計画を持っているのかという問題だ。
米金融当局は2022年半ばに開始した量的引き締め(QT)、つまり保有資産圧縮をこの先どうするのかについて、これまでほとんど語っていない。ランオフ(償還に伴う保有証券減少)が終了した後のバランスシートに関する計画は見えないままだ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)やバークレイズ、TDセキュリティーズ、ゴールドマン・サックスなどの金融機関は、QTのプロセスが想定より長く続くとみて、終了時期の予想を先送りしている。金融当局には、この件に関して見解をもっと提供すべきだとの圧力が高まっている。
Institution Estimated QT end Previous forecast Bank of America end-September end-March Barclays end-September 2025 end-March BNP Paribas end-March Citigroup end-June, with risks it continues through the entire year Deutsche Bank end-June Goldman Sachs end-June end-March JPMorgan end-March, with risks that it’s delayed Morgan Stanley end-March, with risk to a delay to June or September RBC second half 2025 SocGen end-March, though timeline may have lengthened TD Securities end-September end-March Wells Fargo end-May end-MarchSource: Compiled by Bloomberg from bank analysts notes.
RBCキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、ブレーク・ グウィン氏は「予想される終了時期の範囲に近づきつつあるので、答えを得たいと皆思うだろう」と述べた。
米財務省がプライマリーディーラーを対象に実施した今回の調査には、以下のような質問項目が含まれている。QT終了時期に関する自社の見通し、準備預金を潤沢に維持するために連邦準備制度理事会(FRB)はいつ米国債の購入を再開すべきか、QT終了後にどの年限の国債をFRBが購入することを期待するかといった点だ。同省は1月17日にこの調査表を公表。次回の四半期定例入札は2月5日に公表される。
ドイツ銀行のストラテジスト、スティーブン・ゼン氏は「システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)で保有する資産の将来的な構成について、連邦公開市場委員会(FOMC)からほとんど情報が得られないのはいら立たしい。FOMCはQTが有意に長期化する可能性があると考えているかのようだ」と指摘した。
QTに関する議論で重要なのは、米金融当局がバランスシート圧縮をあとどの程度進めることができるかだ。2019年には急激な流動性不足を招き、市場安定化のためにFRBが大量の資金供給を実施する事態となった。
FOMCは今週の会合で政策金利据え置きを決めると広く予想されており、QTの見通しに関する発言に一層注目が集まる。
原題:Fed’s Balance-Sheet Plans Mystify Wall Street as Officials Meet(抜粋)