ウクライナ和平交渉で「素晴らしい進展」とルビオ米国務長官

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画像説明, ウクライナ国内で榴弾砲(りゅうだんほう)を撃つロシア兵(18日)

アメリカとウクライナの両政府は23日夜、両国代表がスイス・ジュネーヴで同日「建設的に、集中して、互いに敬意を示しながら」協議した結果、双方は「更新され整理された和平の枠組み」を策定したと、共同声明で明らかにした

ウクライナとアメリカは共同声明で、ジュネーヴで双方の交渉団が「正義と持続的な平和を達成するという共通のコミットメントを強調した」と述べた。

さらに、「協議が非常に生産的だったと、双方が同意した。議論は、立場を調整し明確な次のステップを特定するため、有意義な進展を示した。将来のいかなる合意も、ウクライナの主権を完全に維持し、持続可能で公正な平和をもたらさなくてはならないと、双方はあらためて確認した。協議の結果、双方は更新され整理された和平の枠組みを起草した」と、両国は述べた。

両国はさらに、「ウクライナ代表団は、アメリカとドナルド・J・トランプ大統領が自ら、揺るぎなく取り組み、戦争と人命の損失を終わらせるため、たゆまず努力していることに、あらためて感謝した」、「ウクライナとアメリカは今後数日、共同提案について集中的に作業を続けると合意した。双方はまた、作業が進むにつれて欧州のパートナーたちと緊密に連絡を取り続ける」とした。

そのうえで両国は、「この枠組みに基づく最終決定は、ウクライナとアメリカの両大統領が行う。双方は、ウクライナの安全、安定、再建を確保する平和を実現するため、協力し続ける用意があることを、あらためて表明した」と共同声明を結んだ。

これに先立ちマルコ・ルビオ国務長官は同日、ロシアとウクライナの戦争終結に向けたアメリカの提案を最終化する協議で「素晴らしく多大な進展」が実現したと発言した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、ドナルド・トランプ米大統領の交渉担当者たちが「こちらの言い分を聞き取っている様子だ」と動画で明らかにした

ルビオ長官は、スイス・ジュネーヴで、ウクライナと欧州の交渉担当者と会談後、記者団を前に「非常に良い1日」だったと成果を強調しつつ、「まだやるべきことがある」と付け加えた。

長官によると、交渉の主な目的は、アメリカが示した28項目の計画から「未解決項目」を絞り込むことで、関係者はそれを「実質を伴う方法」で達成したという。

ただし、最終合意はウクライナとアメリカの両大統領の承認を得る必要があり、さらにその後、ロシアに送付されるもので、それまでまだ協議が必要な問題がいくつか残っていると、ルビオ氏は付け加えた。

ルビオ長官はさらに記者団に対し、「とてもまともな時間を経て、とてもに近いうちに(合意に)到達できると、とても楽観視している」と話した。それがいつになるのかについては、言明しなかった。

一部報道によると、イギリス、フランス、ドイツが主導する欧州諸国による代替の和平案が示されている。ただし、BBCはその文書を確認していない。ルビオ長官はその代替案について聞かれると、一切知らないと答えた。

23日の早い段階ではトランプ氏が、アメリカによる戦争終結の努力に対してウクライナ政府幹部は「感謝の気持ちがまったくない」と非難していた。

米大統領はさらに、ウクライナを強力に支援する国が集まる欧州では、まだ一部の国がロシアから石油を買い続けていると主張した。ロシア政府は、石油と天然ガスの輸出を、戦争の重要な資金源にしている。

アメリカが20日に示した和平案はロシア寄りの内容とみなされており、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は事態解決の「基盤」になると評価したものの、ウクライナと、ウクライナを支援する欧州などの諸国は、その内容に懸念を示していた。

ゼレンスキー大統領はその内容について21日、ウクライナが「非常に難しい選択に直面するかもしれない。尊厳を失うか、重要なパートナーを失うかという選択だ」として、「今日は私たちの歴史の中で最も困難な瞬間の一つだ」と述べていた。

広く流出している草案には、ウクライナ軍が現在統治している東部ドネツク州の一部から撤退し、ドネツクと隣接するルハンスク州、さらに2014年にロシアが一方的に併合した南部クリミア半島でのロシア支配を認めることなどが、条件として含まれる。

和平案にはさらに、ウクライナ南部のヘルソン州とザポリッジャ州の国境を現在の戦線に沿って凍結することも含まれる。両地域は部分的にロシアに占領されている。

アメリカ案はこのほか、ウクライナ軍の人員を60万人に制限し、欧州の戦闘機を隣国ポーランドに配備することを定めている。

ウクライナ政府には「信頼できる安全の保証」が与えられるとあるものの、詳細は示されていない。文書には、ロシアは近隣諸国に侵攻せず、NATOもこれ以上拡大しない「ものとされる」と書かれている。

和平案はさらに、制裁解除や主要国グループへの再加盟を通じてロシアが再び「世界経済に再統合」されると示す。この場合、現在のG7はG8に戻ることを意味する。

流出した和平案のこうした内容には、カナダ、フィンランド、フランス、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、スペイン、イギリス、ドイツ、ノルウェー、欧州連合(EU)の首脳らが22日、共同声明で懸念を示していた。

首脳たちは声明で、「我々は、この草案が基盤であって、さらに調整が必要だと考える。我々は、将来の平和が持続可能であることを確実にするため、関与する用意がある。我々は、国境が武力によって変更されてはならないという原則を明確にしている」と述べ、「我々はまた、ウクライナ軍について提案された制限を懸念している。これではウクライナが将来の攻撃に対して弱い立場になってしまう」とも指摘した。

さらに、「EUおよびNATO(北大西洋条約機構)に関連する要素の実施には、それぞれの加盟国の同意が必要になる」と述べた。

トランプ氏は当初、ウクライナが和平案を受け入れる場合の期限は27日だとしていたものの、欧州など各国の共同声明の後には、すでに示している計画はウクライナに対する「最終提案」ではないと記者団に述べた

ロシアのプーチン大統領は21日の安全保障閣僚会議で、ロシアはアメリカの提案を受け取ったものの、その詳細はクレムリン(ロシア大統領府)として協議したものではないと話した。

また、ロシアには「柔軟性を示す」用意がある一方、戦闘を続ける準備もできていると述べた。

プーチン氏は2022年2月、ウクライナへの全面侵攻を開始した。

ロシアは現在、ウクライナ領土の約20%を支配している。ロシア軍は、甚大な損失が報告されているにもかかわらず、長大な前線に沿ってゆっくりと前進を続けている。

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