ドイツ経済相、米関税にEUの反威圧措置を検討必要と主張

欧州連合(EU)の通商担当相らは7日、ルクセンブルクで会合を開き、トランプ米大統領の関税措置に対抗していくことで結束した。またデジタル企業への関税賦課の可能性を含め、あらゆる措置を講じる用意があることを示唆した。

  シェフチョビッチ欧州委員(通商担当)は会合後に「EUは今も開かれており、交渉を望んでいる。しかし、いつまでも待つわけではない」と述べた。

  同委員は、「双方にとって公正でなければならず、互いに受け入れ可能な解決策につながるような実質的なやり取りはこれまでなかった」と述べ、「われわれは報復合戦を繰り広げるつもりはない」と付け加えた。

  トランプ米大統領は2日、相互関税としてEUからの輸入品に20%関税を課すと発表。トランプ氏の「米国第一主義」の政策は世界的な貿易戦争に対する懸念を強めている。EUは交渉に前向きな姿勢を示してきたが、域内の当局者は解決に向けた試みがうまくいかなければ、EUはためらうことなく対応するだろうと語っている。

  ドイツのハーベック副首相兼経済・気候保護相は会合に先立ち、対抗措置を巡り、デジタルサービス分野も含めた「関税政策をはるかに超える『反威圧措置』(ACI)を検討すべきだ」と述べた。米国に対し、EUが取り得る最も厳しい措置を求めた格好だ。

  欧州委員会のフォンデアライエン委員長はブリュッセルで記者団に対し、EUは関税による影響を監視するためのタスクフォースを設置すると語った。

  また、交渉には積極的だが必要であれば報復措置も辞さないと、これまでのEUの方針をあらためて示した。その上でEUは他のパートナー諸国との通商関係の強化を模索していくと語った。フォンデアライエン氏は「米国を除く世界の貿易の83%に徹底して焦点を当てていく」と述べた。

  同氏によると、EUはこれまで米国が同様の措置を取るのであれば、自動車を含む工業製品の関税をゼロにすることを提案してきたが米国はこれに応じなかった。

  トランプ政権のナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は7日、米CNBCとのインタビューで、EUの関税削減の提案は「前向きな小さな一歩」とした上で、域内の付加価値税(VAT)を一例に挙げて関税ではない「不正行為」がより大きな問題だとの見方を示した。

  フランスのサンマルタン貿易担当相によると、EU諸国は関税措置を巡る米国との協議において、使用可能なあらゆる手段を投入していくことで合意した。

  サンマルタン氏は担当相会合後にブルームバーグテレビジョンに対し、使用可能なあらゆる手段があると語り、「われわれはそれを使いたくはないが、使用することは可能であり、この点においては最も最も合意が取れている」と述べた。 

原題:EU Trade Chiefs Close Ranks as Trump Tariffs Jolt Global Trade

France Says EU Ready to Brandish All Tools in US Trade Talks

Germany Seeks Strongest EU Trade Tool to Hit Back at US Tariffs

(抜粋)

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