若い星の周囲で育つ原始惑星「WISPIT 2b」 超大型望遠鏡VLTが観測
こちらは、ESO=ヨーロッパ南天天文台のVLT=超大型望遠鏡で観測した、若い星「WISPIT 2」。
わし座の方向、約433光年先にあるWISPIT 2は、いくつかの隙間があるリング状の原始惑星系円盤に囲まれています。
【▲ ESOの超大型望遠鏡VLTで観測された若い星「WISPIT 2」の原始惑星系円盤。幅の広い隙間に原始惑星「WISPIT 2b」がある(Credit: ESO/R. F. van Capelleveen et al.)】この画像は、VLTの分光偏光観測装置「SPHERE」を使って取得されました。WISPIT 2からの光はコロナグラフで遮られているため、リングの中心に黒い穴が開いているように見えます。
画像をよく見ると、リングの中心の右下、大きな隙間のなかで1つの光点が輝いています。
この光点はWISPIT 2を公転する原始惑星とみられていて、「WISPIT 2b」と呼ばれています。
ガスと塵(ダスト)でできた原始惑星系円盤では、微細な粒子が少しずつ集まって成長することで、惑星が形成されると考えられています。原始惑星系円盤は隙間が生じてリング状になっているものがいくつも見つかっていますが、この隙間は成長する惑星によって生じるとみられています。
ESOによると、WISPIT 2bの質量は木星の約5倍。ラスカンパナス天文台の「マゼラン望遠鏡」で観測したところ、周囲から水素ガスを取り込んでいることが確認されました。
また、主星のWISPIT 2から約56天文単位離れているWISPIT 2bよりも内側、主星から14~15天文単位離れたあたりに、木星の約9倍の質量がある別の惑星が存在する可能性もあるといいます。
WISPIT 2での発見は、約45億年前に誕生した太陽系の初期の様子をを理解するうえで、新たな知見をもたらすかもしれないと期待されています。
冒頭の画像はESOの今週の画像として、2025年8月26日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部