“最低ペース”の女王レース “最高ペース” のシード争いが示す国内女子ツアーの現状は?

◇国内女子◇ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント◇ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(千葉県)◇6505yd(パー72)

全36試合が組まれた今季の国内女子ツアーは前週の「ニトリレディス」で、約3分の2にあたる23試合を終えた。シーズンは終盤戦に入っていくが、年間女王レースや来季シード争いの現状はどうなっているのか? “物差し”が獲得賞金から、獲得ポイントによるメルセデスランキングに一本化された2022年から昨季までと、今季を比較した。

現在の1位はただ一人複数回優勝の3勝を挙げて、1541.57ptを得ている佐久間朱莉。ただし、過去3シーズンの年間女王に比べてポイント獲得ペースは遅い。

各年の23戦を消化した時点で見ると、2022年は西郷真央が1位の1841.20pt(5勝)、最終的に女王になった山下美夢有は2位で1672.81pt(2勝)だった。23年は山下が1位で1887.19pt(4勝)、そのまま2年連続で女王を戴冠した。24年は、女王になった竹田麗央が1位で1974.51pt(4勝)だった。

佐久間のポイントは22年、23年なら3位、24年なら4位相当になる。トップとの差はそれぞれ299.63pt、2345.62pt、432.94ptもある。

優勝で得られるポイントは3日間競技が200pt、4日間競技が300pt、国内メジャー(残りは日本女子プロ選手権、日本女子オープン、JLPGAツアー選手権)が400pt。つまり“1勝分以上”のアンダーペースと言える。今季は今週の「ゴルフ5レディス」を含めて残り13試合で、22年と23年より2試合、24年より1試合少ないとはいえ、過去3シーズン続いた “3000pt超での女王”誕生は厳しい状況にある。

“歴代最低ペース”の背景に、女王争いを繰り広げていた西郷、山下、竹田に加え、岩井明愛岩井千怜らの米ツアー参戦があるのは間違いだろう。

逆に「メルセデスランキング50位以内」のシード争いのボーダーラインは高くなっている。現在の50位は初シードを目指す高久みなみで311.91pt。2022年の268.96pt(内田ことこ)、23年の257.96pt(サイ・ペイイン)、24年の299.12pt(工藤遥加)を上回る。ボーダーは歴代最高だった24年の465.38pt(上田桃子)を上回り、500pt前後になるかもしれない。

女王レースが最低ペース、シード争いが最高ペースなのは上下の差が詰まった“どんぐりの背比べ”で、優勝&上位争いの常連が昨季までより少ない証し。23試合終了時点の複数回優勝者は22年が3人(5勝=西郷、2勝=山下、西村優菜)、23年が5人(4勝=山下、2勝=申ジエ、岩井明、櫻井心那穴井詩)、24年が6人(4勝=竹田、3勝=川崎春花、2勝=小祝、岩井千、岩井明、鈴井愛)いたが、今季は佐久間ひとり。

海外メジャー「AIG女子オープン(全英女子)」優勝の800ptを獲得し、国内出場は1試合だけの山下がランク2位にいる。やはり“有力プロ”の米ツアー進出が国内ツアーに影響を与えていそうだ。

<現在のメルセデスランキング上位> 1/佐久間朱莉/1541.57pt(23試合3勝) 2/山下美夢有/1231.99pt(1試合0勝) 3/小祝さくら/1165.15pt(18試合1勝) 4/河本結/1153.45pt(19試合1勝) 5/神谷そら/1094.51pt(22試合1勝) 6/鈴木愛/1044.08pt(20試合1勝) 7/菅楓華/1010.36pt(23試合0勝) 8/高橋彩華/1000.48pt(21試合1勝) ※カッコ内は国内試合数&勝数、山下は海外メジャー5試合で1170.33pt獲得

<メルセデスランキング50位前後> 46/高野愛姫/351.61pt(23試合1勝) 47/都玲華/332.06pt(17試合0勝) 48/青木瀬令奈/319.41pt(23試合0勝) 49/川岸史果/311.93pt(22試合0勝) 50/高久みなみ/311.91pt(23試合0勝) 51/天本ハルカ/308.35pt(23試合0勝) 52/大出瑞月/306.16pt(23試合0勝) 53/吉田優利/290.80pt(1試合1勝) 54/ささきしょうこ/289.37pt(23試合0勝) 55/阿部未悠/287.05pt(21試合0勝)

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