メタプラネットの新株発行需要に不透明感、海外勢には「未知数」の声
- 海外で1300億円調達、総会の優先株規定承認で最大5500億円にも道筋
- ビットコイントレジャリー企業の存在感、米国などと比べまだ低い
ビットコイン投資・保有企業のメタプラネットによる海外市場での新株発行を巡り、市場では需要が集まるかどうか不透明感が広がっている。投資家の間でこうしたビジネスモデルを展開する日本企業への知名度や理解度が米国の企業などと比べ低いからだ。
同社は8月27日、海外市場での新株発行で約1303億円を調達すると発表。米国のモルガン・スタンレーとキャンターフィッツジェラルドが海外投資家への販売を管理・推進するブックランナーを務める。9月1日の臨時株主総会では優先株の発行規定を新設する議案も賛成多数で可決され、最大5550億円の機動的な資金確保に向け道筋を付けた。
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「ビットコイントレジャリー企業」と呼ばれ、暗号資産(仮想通貨)の投資・保有を主要事業とする上場企業のアジアでの存在感は、米実業家のマイケル・セイラー氏率いるストラテジーなどが有名な米国ほど高くない。情報サイトのビットコイントレジャリーズ・ドット・ネットによると、米国は107、日本は12、香港は11のビットコイントレジャリー企業がある。
また、メタプラネットの株式時価総額が直近のピークからほぼ半減したことも投資家の懸念材料で、公募増資に期待するほどの人気が集まらなければ、会社側は優先株の活用も含め今後の資金調達シナリオの修正を迫られることになる。
エキタス・リサーチのアナリスト、スミート・シン氏はメタプラネットの新株発行について「大幅なディスカウントは効果的だろう」と指摘。ビットコイントレジャリー企業では「アジア初の大規模な株式販売となり、アジアの投資家にとってはまだ未知数」との認識を示した。
メタプラネットの広報担当者はブルームバーグの取材に対し、オファリング期間中であり、コメントを控えるとしている。
一方、今回の案件が成功すれば、類似企業も同様の資金調達に踏み切る可能性がある。メタプラネットにとっても資金調達の多様化を実現したことになり、同社の掲げるビットコイン購入計画を粛々と進めることができる。同社は2026年末までに10万ビットコイン、27年末までに21万ビットコインを保有する予定だ。