吉野家の客席でスマホを急速充電してみた 10分で12%→29%に
10月10日、スマホの充電器などで知られるアンカー・ジャパンが、関東エリアの吉野家にAnkerの充電ケーブルを設置していくことを発表しました。
これに対して、スマホの充電のために長居する客が増えるのではないかと心配する声もあります。実際にどうなのか、吉野家に聞いてみました。
充電のために長居する客は「ほとんどいない」
これからAnkerの充電ケーブルの設置が始まるのは吉野家の関東エリア全域の約220店舗です。すでに実証実験として関東39店舗に展開しており、見たことがある人もいるかもしれません。
設置されるのはシリコン素材の「Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル」で、最大67W出力の電源アダプタにつながっており、スマートフォンやタブレットの急速充電ができるとしています。
卓上でのケーブルの取り回しが気になるところですが、実際に吉野家の店舗で確認してみたところ、小型の強力な磁石が取り付けられており、所定の位置にくっつけられる仕組みになっていました。
ケーブルには小型の強力な磁石が取り付けられており、所定の位置に固定できるようだ(筆者撮影)飲食店の客席に充電用のUSBポートや電源コンセントを設置する事例は増えていますが、今回のように「ケーブル」が出ていれば充電器などを持ち込む必要がないので便利といえます。
2023年からは日本交通グループのタクシーにもAnkerの充電ケーブルが搭載されているように、出先でスマホを充電する方法が増えたのは嬉しいところです。
ところで、吉野家の場合は食事が終わった後もスマホの充電を続けたいと思う人はいないのでしょうか。そうした人が長居をすることで、回転率が下がることを心配する声があるようです。
この点について吉野家に確認したところ、「食事を終えた後に充電だけを目的に長時間滞在されるケースはほとんど見られませんでした」(広報)としています。
これまでの実証実験を踏まえた上で関東全域への本格展開に至ったといえそうです。関東以外の地域については、利用状況などを見ながら検討していくといいます。
セキュリティ面について、吉野家の店舗では問題ないと思いたいところですが、業務用のスマホやタブレットを充電する場合は、社内の規則などを確認しておいたほうがよいでしょう。
なおiOS 26では有線アクセサリについての設定が加わっており、デフォルトでは画面ロックを解除するまではアクセサリの接続は許可しない設定になっています。
なおiOS 26では「設定」→「プライバシーとセキュリティ」の中に「有線アクセサリ」が加わっている(iOSの画面より、筆者作成)実際にバッテリー残量が12%になったiPhone 16の充電を試してみました。客席のタブレットで牛丼の並盛を注文し、食べ終わるまでの所要時間は約10分。その間にバッテリーの残量表示は29%まで回復していました。
iPhone 16の仕様では約30分で最大50%の充電をうたっていることから、ほぼスペック通りの挙動といえます(充電残量がもっと多い場合、数字の増え方は緩やかになります)。
牛丼を食べる約10分の間に12%から29%まで充電残量が増えた(筆者撮影)急速充電を手軽に体験できる機会に
充電ケーブルが設置されたボックスは色が黒いためかホコリが目立つのはやや気になったものの、食事中にここまで充電できれば助かる場面も多いと思われ、すぐに食べられる「牛丼」と「急速充電」の相性の良さを感じました。
吉野家では三井住友カードによる最大7.5%のポイント還元を実施しており、食事中に充電したスマホをそのまま決済にも利用する、自然な流れができている印象です。
また最近のスマホには充電器が付属しない場合があり、古いものを使い続けている人も少なくないでしょう。その場合、急速充電自体にも驚くかもしれません。
急速充電はAnkerだけではなく、他社製品でも似たような結果を得られる可能性はあるものの、吉野家の客席ではしっかり「Anker」のロゴをアピールしており、「急速充電といえばAnker」というイメージを持つ人がさらに増えそうです。
(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、2012年にフリーランスのITジャーナリストとして独立。日経クロステック(xTECH)やASCII.jp、ITmedia、マイナビニュースなどの媒体に寄稿し、2021年からは「Yahoo!ニュース エキスパート」として活動しています。