トランプ米政権が“ベトナム対策関税率”を打ち出し、任天堂が心配される。Switch工場があるので

Image Credit: Gage Skidmore on Flickr/ CCBY/ Cropped from original

米国のドナルド・トランプ大統領は現地時間4月2日、「相互関税」の導入を発表した。ベトナムなどには特に高い関税率が課される見込み。

ベトナムには任天堂が過去にNintendo Switchの生産を一部移管しており、今後のNintendo Switch 2発売に向けた影響も一部で懸念されているようだ。とはいえNintendo Switch 2の“グローバル価格”には、関税の引き上げも織り込み済みという可能性を示す意見も寄せられている。

関税とは、輸入者が商品を輸入する際に納めることになる税金の総称だ。輸入にかかるコストの一部であり、関税の増減は輸入品の最終的な小売価格にも影響するだろう。安価な商品が輸入されて国内製の商品が売れなくならないように関税をかけ、国内産業を保護することも関税の目的のひとつとなっている。

今回の相互関税の導入により、米国はすべての輸入品に対して一律で10%の基本関税を課す見込み。さらに相手国の関税率や非関税障壁などに応じて、国・地域別に税率が上乗せされる予定だ。

なお相互関税の導入の背景としてトランプ大統領は、米国の貿易赤字を国家の緊急事態とする判断があったことに言及している。そのため相互関税の導入は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく大統領権限による決定とのこと。10%の基本関税は現地時間4月5日より、上乗せ分は現地時間4月9日より発動予定だ。

そうしたなかで、ベトナムに課される相互関税の税率の高さに、ゲーム業界の情報通やアナリストなどから注目が集まっているようだ。トランプ米政権は国・地域別に上乗せされる相互関税の関税率を公表しており、日本は24%、中国は34%といった税率が並ぶなか、ベトナムは46%、カンボジアは49%もの関税率が上乗せされる見込み。中国企業が関税を回避するために、ベトナムやカンボジアから迂回して輸出しているとの判断に基づいた税率だという。

そしてベトナムといえば、任天堂がNintendo Switchの生産拠点としている国のひとつだ。任天堂は当初中国のEMS(電子機器の受託製造サービス)工場でSwitchの生産をおこなっていたものの、2019年に一部をベトナムのEMS工場に移管。現在は中国、ベトナムのほか、マレーシアでも生産がおこなわれているとされる(公式サイト)。

中国からベトナムに生産が一部移管された背景として、2019年当時の米国による対中制裁関税「第4弾」にゲーム機が含まれていたことがあるとみられていた(日本経済新聞)。米中の通商関係が不安定ななかで、米国がNintendo Switchに課す関税率を大きく引き上げるリスクを回避する狙いがあったようだ。

しかし今回、ベトナムからの輸入品にも相互関税として高い関税率が設けられるわけだ。相互関税の導入が発表されたタイミングはNintendo Switch 2の発売日および価格が告知された直後であり、Nintendo Switch 2は米国向けにはすでに449.99ドル(約6万6000円・現在のレート)と発表済み。米国のユーザーからは、今後関税率を加味して価格が改訂されるのではないかといった懸念も生じている。

I’m not saying the price couldn’t go up further. I’m saying the $450 price was likely them pre-empting what reciprocal tariffs could look like.

It was known this could happen for a while.

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