ECBラガルド総裁、高い不確実性に警戒感-金利の約束できない
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、通商を巡る不確実性が高まっているとして、金利に関して確実な約束はできないと言明した。
ラガルド氏は欧州議会経済金融問題委員会での証言で、ディスインフレのプロセスは引き続き「順調」だが、ユーロ圏は特に関税の影響を受けやすいと指摘した。同氏は「不確実性が高い現在のような状況においては、データを基に会合ごとに適切な金融政策スタンスを決定するアプローチを維持する」と述べ、「具体的な金利の道筋を事前には約束しない」と続けた。
インフレ鈍化に伴い、ECBは段階的に利下げを実施してきた。ただ米国発の貿易摩擦やウクライナ和平合意を巡る不確実さ、欧州の防衛支出拡大などで利下げ見通しは一段と不透明になっている。
投資家の間では、4月会合での追加利下げに対する織り込みは後退している。それでも年内あと2回利下げがあるとの見方は強い。
ECB政策委員会メンバー、クノット・オランダ中銀総裁はアムステルダムでの講演で、ドイツの大型防衛支出はインフレを招くかどうかを見極める必要があるとして、自身の見解はまだ固まっていないと述べた。
クノット氏は「何かが変わった。それが金利政策にどう影響するのかについて、4月にわれわれが自ら判断しなければならない」と述べ、「利下げ余地はあるのか。私は引き続きオープンマインドでいる。ただ熟慮が必要だ。その時間は十分にあるものの、依然としてまだ不確かな点も多過ぎる」とも述べた。
利下げ余地ある
ビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、米国ほど消費者物価に対する懸念がないとして、追加利下げの余地はあるとの見方を示した。
ビルロワドガロー氏はパリでのカンファレンスで、米国の関税措置がもたらすインフレリスクに対して強い警戒は示さず、経済成長は抑制されるが、物価への影響は「弱い」だろうと述べた。
同氏は「欧州でのインフレは懸念していない」と語り、「恐らくECBにはまだ利下げ余地がある。この不確実な環境での利下げペースを見極めていく」と続けた。
ECBの決定は今後、米国の関税がユーロ圏経済にダメージを及ぼした場合に財政拡大がこれを相殺できるのか、またこれらが最終的に物価にどう影響するのかに左右される。
ラガルド氏は、現在の課題に対処するためにECBは「機敏さと明瞭さを同時に示す必要があるだろう」と述べた。
原題:Lagarde Says Rising Uncertainty Means ECB Can’t Commit on Rates
ECB’s Knot Is ‘Open Minded’ on Whether to Cut Rates in April
ECB Has Room to Cut Interest Rates Further, Villeroy Says
(抜粋)