ジェミニ南望遠鏡が観測した史上3例目の恒星間天体「3I
こちらは、ジェミニ天文台のジェミニ南望遠鏡(セロ・パチョン、チリ)で2025年8月27日に観測された「3I/ATLAS(アトラス彗星)」です。
2025年7月初旬に発見された3I/ATLASは、2017年に発見された「1I/'Oumuamua(オウムアムア)」、2019年に発見された「2I/Borisov(ボリソフ彗星)」に続き、恒星間天体だと確認された3例目の天体として注目されています。
【▲ ジェミニ南望遠鏡が観測した恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス彗星)」。3I/ATLASの動きに合わせつつ4種類のフィルターを切り替えながら観測したため、視野内の他の天体はカラフルな破線として写っている(Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/Shadow the Scientist; Image Processing: J. Miller & M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani (NSF NOIRLab))】この画像は、ジェミニ南望遠鏡の「ジェミニ多天体分光器(GMOS)」で取得したデータを使って作成されました。3I/ATLASの動きに合わせて望遠鏡を動かしつつ、4種類のフィルターを切り替えながら観測したため、視野内の他の天体はカラフルな破線として写っています。
ジェミニ天文台を運営するNSF NOIRLab=アメリカ国立科学財団の国立光学・赤外天文学研究所によると、彗星の特徴であるコマ(※)や尾は以前の観測よりも大きく広がっていて、太陽系内を移動するにつれて活動が活発化していることを示しています。
※…彗星の核から放出された物質でできた、明るいぼんやりとした領域。
また、新たな観測結果によれば、3I/ATLASの塵(ダスト)や氷は太陽系の彗星のものと概ね似ており、惑星系の形成における共通のプロセスの存在が示唆されるといいます。
【▲ ジェミニ南望遠鏡が観測した恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス彗星)」。背景の星々の像を静止させる画像処理を施したバージョン(Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/Shadow the Scientist; Image Processing: J. Miller & M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani (NSF NOIRLab))】2025年9月8日の時点で、3I/ATLASは火星と木星の公転軌道の間を移動していて、地球から約2.6天文単位、太陽から約2.3天文単位離れています(NASA/JPL=アメリカ航空宇宙局ジェット推進研究所のデータベースから)。
太陽に最接近するのは2025年10月29日頃、地球に最接近するのは2025年12月19日頃で、最接近距離は太陽に対して約1.3天文単位、地球に対して約1.8天文単位。その後は太陽系の外に向かって再び飛び去っていくことになります。
ジェミニ南望遠鏡で観測した3I/ATLASの画像は、NOIRLabから2025年9月4日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部