知名度低いうちの大学が…千葉工大の入試志願者が全国最多の16万人、学部・学科改編や検定料無料などが奏功
千葉工業大(千葉県習志野市)の今春の一般選抜入試志願者数が16万2005人に上り、全国の大学で最多だったことがわかった。同大が1日に発表した。バブル期の1989年に早稲田大が記録した16万150人を上回り、史上最多も更新。背景には、社会ニーズを捉えた学部・学科の柔軟な改編や、受験生に配慮した入試制度の工夫がある。(芝田裕一)
倍率100倍に達した人気学科も…社会ニーズにらみ積極的に改編
「早稲田大や明治大でなく、知名度が低いうちの大学がまさか1位になるとは」。千葉工大入試広報部の日下部聡部長は、驚きを隠さない。
【ランキング】志願者数トップ10の大学教育ジャーナリストが代表を務める「豊島継男事務所」(東京都千代田区)のまとめによると、志願者数上位10校の中で理工系の大学は千葉工大だけ。総合大学ではなく、定員も1990人と有名私立大ほど多くないのにこれだけ集めたのは異例と言える。
なぜ1位になったのか。日下部部長は、最大の要因は「時代に合わせて、積極的に学部・学科の改編を進めたこと」とみる。
もともと工学部が中心の大学だったが、2016年度に創造工学部と先進工学部、24年度には改組で情報変革科学部と未来変革科学部を新設。今年度は、全国初の宇宙・半導体工学科を創設した。
社会ニーズをにらんだこうした改編が奏功し、今春は、一般選抜で情報変革科学部の情報工学科に1万2002人(倍率100倍)、宇宙・半導体工学科には9556人(同87倍)が志願した。
もう一つの要因は、受験生に配慮した入試制度だ。経済的な負担を軽減し、受けやすくするために、いろいろな工夫を凝らしている。
受験に大学入試センターの共通テストを利用する場合、1万5000円程度の検定料を徴収する大学が多いが、同大はこれを無料にしている。
また、1学科分の検定料を納めれば、ほかの学科をいくつでも受験できる。出願を完全にインターネット対応にし、試験日前日まで受け付けたのも、他の大学にはなかなかまねできない仕組みだ。
日下部部長は「当大学も含め、志願者が増えている大学は動きが速い。受験生のニーズをいち早くくみ取り、入試制度に反映させている」と話す。
また、昨春に卒業した学部4年生の進路決定率(就職か大学院への進学が決定した割合)は98・8%と高かった。来春に卒業・修了する学部生・大学院生への求人は全国1万6259社(3月1日現在)から寄せられているという。
志願者数が1位になったことについて、入試担当の大川茂樹副学長は「進めてきた改革が受験生に伝わっている実感がある。今後も教育の質の向上に取り組み、選んでもらえる大学になるよう努力したい」と語った。