日本でブラックフライデーが盛り上がる理由は? 企業と消費者の「利害の一致」がポイント #エキスパートトピ

西山守桜美林大学准教授/コンサルタント
(提供:イメージマート)

近年、日本でもブラックフライデーは定着してきていたが、今年は旅行・交通・アパレルなどまで広がっており、積極的なプロモーションが行われている。

元々、ブラックフライデーは感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日に開催されるセールを指す。

感謝祭はアメリカやカナダ独自の祝日で、新大陸に渡った清教徒が、先住民族から農作物の栽培を教わり、収穫を祝ったことに由来する。

労働者は感謝祭の翌日も休む慣習があり、その日にセールが行われるようになった。感謝祭を祝わない日本でブラックフライデーが盛り上がっているのはなぜだろう。

ココがポイント

「ブラックフライデー」、駆け込み需要が過熱出典:スポーツ報知 2025/11/24(月)

iPhone 16が安すぎて品切れ間近! Amazonブラックフライデー出典:PHILE WEB 2025/11/24(月)

「ブラックフライデー」セールまとめ41選。旅行/家電/商業施設/アパレル/アウトレットなど【2025】出典:トラベル Watch 2025/11/21(金)

小売から旅行まで「ブラックフライデー」が拡大! イオン、ユニクロ、Amazon... 2025年セールの動向出典:MONEY PLUS | くらしの経済メディア

エキスパートの補足・見解

日本のブラックフライデーの特徴は、11月下旬の比較的長期間にわたってセールが行われることだ。しかも、ブラックフライデー当日より、その前に盛り上がりを見せている。

日米で共通なのは、

・消費市場が飽和しており、企業は「購入動機」を作る必要がある

・11月は消費の低迷期にある

という点だ。ハロウィンとクリスマス・正月商戦の狭間にあって、買い控えが起こりがちだ。

日本の場合は、ブラックフライデーは祝日ではない代わりに勤労感謝の日があるため、セール開始が前倒しになり、セール期間も長い傾向がある。

今年はイオンのブラックフライデー10周年にあたっているが、競合の大手スーパーも参入してきている。ECでも、各社が参入して競争が激しくなっている。

こうした状況が起きてくると、消費者からしても「商品が安く購入できる」というメリットがあるし、12月の慌ただしい時期よりも前倒しで年末年始を迎えることができる。

旅行代理店や航空会社、鉄道会社などもセールを行っているが、年末年始以降の冬場の観光需要の喚起を期待してのことだろう。

特に、今年は日中関係が悪化して、インバウンド需要が落ち込む懸念がある。ブラックフライデーは内需拡大のチャンスでもある。

桜美林大学准教授/コンサルタント

大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書は『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社:共著)など。

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