米国株からの資金流出は一巡、年末にかけて上昇へ-UBSのロマーノ氏

UBS証券のトレーディング部門は米国株について、売りは一巡した可能性があり、年末にかけて上昇局面に入る可能性があるとの見方を示した。

  米国株は先週、下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和観測に疑問符がつき、過熱感のあった人工知能(AI)関連銘柄から資金が引き揚げられた。S&P500種株価指数とナスダック100指数は、10月下旬に付けた過去最高値からそれぞれ約4%、7%下落し、いずれも100日移動平均線まで値を下げた。

  しかし、主要株価指数がその重要なテクニカル水準で下げ止まり、システマチックファンドからの売りもほぼ収まっているほか、来月の利下げ観測も再び強まっていることから、UBSは相場に上昇余地があるとみている。

  UBSで株式デリバティブのヘッジファンド向けセールスを統括するマイケル・ロマーノ氏は23日のリポートで、「リスク回避の動きは一段落したとみている」と記した。

  21日にはニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が近いうちに再び利下げを行う余地があるとの見方を示し、市場心理が好転。12月の利下げ観測が再び強まった。利下げ局面で上昇が見込まれる銘柄を追跡するUBSのバスケットは21日に4.6%上昇し、8月以来の大幅高となった。ウォラー理事は24日、12月会合では利下げを支持すると述べた。

関連記事:NY連銀総裁、「近いうち」に利下げ行う余地-慎重派2総裁は警戒 (2)

  S&P500種は年初来で約12%上昇し、先週末はおよそ6600で終えた。ロマーノ氏は、11月の売りがポジション調整を進める結果となり、上昇再開の土台が整ったとして、S&P500は年末にかけて7000近くまで上昇する可能性があるとの見通しを示した。

  同氏は、AIを主導するエヌビディアの好決算や、同社半導体の中国向け販売に関するトランプ大統領の発言などに言及した。

  システマチックファンドからの資金フローも安定してきており、いわゆるボラティリティー・コントロール・ファンドが再び買いに転じる動きも見られるという。

  ロマーノ氏は、最近のポジション巻き戻しによって、今年の12月は例年とは異なる展開になる可能性があると予想。特に、価格の上下動が激しいモメンタム株にとっては強い展開が見込まれると述べた。

  UBSが構築するロング・ショートのモメンタム・バスケットは、11月に14%下落した。モメンタム戦略にとって12月は例年パフォーマンスが低調だが、今年はその傾向が変わる可能性があると同氏は指摘。「12月に見られるモメンタムの季節性が11月に前倒しで現れており、12月はモメンタム株のロングに適した月となる可能性がある」と記した。

原題:UBS’ Romano Says Rotation Out of US Stocks Is Likely Done(抜粋)

— 取材協力 Geoffrey Morgan

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