【全力レポート】人生で初めて訪ねた静岡・浜松市をトコトン満喫! 音楽と楽器とグルメを堪能してきた
私(佐藤)が1年で1番好きな「月」はいつかをお教えしよう。それは2月である! なぜなら、毎年2月は有給期間だからである。働かなくてもいい! 働かなくても給料出る! 有給最高! 有給大好き!! 毎月有給でもいいくらいだよ、マジで!! U・Q! U・Q!
……ってなわけで、有給を謳歌している私は、2月のはじめに静岡県浜松市へと出かけたのだった。その理由はあとでお伝えするとして、何を隠そう人生初の浜松を堪能したのである。
そもそも静岡で宿泊した経験もほとんどなかったために、いまさら静岡グルメを知り、その奥深さに驚いた。それだけではなく、1泊2日で浜松をトコトン堪能したぞ! この感動と興奮をお届けしたい、あなたに~!
・焼津で途中下車
私が浜松に行くことを決意したのは、ジャズ喫茶に行きたかったからだ。浜松市中区の「トゥルネラパージュ」というお店に、世界最大規模を誇るオーディオシステムがあり、極上のサウンドを楽しめるらしい。
とにかく、そのお店に行ってみたい! と思い、細かいことは何も考えずに東海道本線に飛び乗った。
大抵は東京、もしくは品川駅から新幹線に乗るところだが、私は急がない。時間はある。だって、有給だもんね! 早く着かなくても問題ナッシング! あえて普通列車で向かったのだった。
新宿から小田急線で小田原に出て、そこから東海道本線で熱海に行き、同じく東海道本線で浜松を目指す。所要時間は4時間半。途中下車するつもりでゆっくりゆっくり向かっていく。
熱海を出て静岡を過ぎたあたりで、そろそろ昼メシを食いたくなったので、焼津駅で降りてみた。とくにあてがあるわけではない。降りればきっと何かあるくらいの気持ちで、改札を抜けた。
新鮮な魚を食べたいと思ったけど、漁港まで徒歩で行くにはちょっと遠い。急がないとはいっても、日が暮れる前には浜松に着いていたかった。そこで、駅前の商店街にある食堂にフラリと入ってみた。
昭和から続く老舗の風情。おばあさんが1人でお店を切り盛りしている。壁に貼り出されたメニューを見て、この地域らしいものをと選んだのが「はんぺんフライ定食」(税込750円)だ。
静岡といえば黒はんぺん、焼津の特産品のひとつとして知られている。青魚を原料にしているため、黒くなるのだとか。
衣をつけて揚げたはんぺんを食べるのは初めてだ。食べてみると衣のサックリと、肉厚なはんぺんの食感が絶妙。ハムカツのようなしっかりとした食べ応えである。
黒はんぺんで静岡グルメの洗礼を受け、満足なランチにありつけたわけだが、そのお店の並びの「パリジャンマツダ」というパン屋さんで、これまた静岡らしい商品を発見した。
それは鰹パン!
パンとカツオって合うのか!? これは食べてみなければッ! ってことで、鰹パンを含む3種のパンを購入。これは明日の朝ごはんにして、その味をたしかめるとしよう。
・最高のオーディオで思い出のアルバムを聞く
さらに約1時間半を経て浜松に到着~!
複合商業施設ザザシティ浜松にある、宿泊できるスーパー銭湯「かじまちの湯 SPA SOLANI 」にチェックイン。これでとりあえず今日の宿は確保できた。まずはひと安心。
その足で今回の浜松遠征の目的地に向かう。そう、最高のオーディオシステムを備えたトゥルネラパージュだ。
お店は手前が喫茶店、奥側が劇場型の席配置になっており、最奥の檀上に巨大なオーディオが置かれている。
その光景に圧倒された! いまだかつて、これほどまでに巨大でなおかつ美しいオーディオを私は見たことがない。
ドイツのメーカー「アバンギャルド」の「TRIO + 6 BASSHORN」システムである。中央にローミッドレンジ・ミッドレンジ・ツイーターの3ホーンが壁のように積み上がり、サイドには大口径のホーン型アクティブサブウーハー。
美しくて思わず見惚れてしまうスタイリッシュなフォルムだ。正確なところはわからないが、ザっと調べたところ販売価格は2000万くらいするらしい。
その音はというと、かなりの音量が出ているはずなのにうるさく感じない。チューニングの影響もあるだろうけど、音が波のように身体に響くのに、耳にはうるさく聞こえないのである。
極端にいえば、音が形を成して身体に触れているような感覚。風とか空気のように、音に触れられるような気がしてくる。何を聞いても心地よくなってしまう。
スタッフが選曲したアナログ盤に耳を傾け、ただ静かに音楽を聞く。その時間がとてつもない贅沢をしているように感じられた。そうして気づかない間に1時間が過ぎている。ふと見ると、スピーカー前の劇場席は私ひとりになっていた。
チャンス!
実はこのお店、通常営業日にはお店のコレクションからリクエストを受け付けているのだ。リクエストしてえな~。でも新参者がリクエストなんかしちゃ、常連さんに悪いもんな~。なんて思っていたけど、今は私ひとり! 誰にも気をつかう必要ナッシング!
そこでお店の人に「あの~、リクエストしたいんですけど~」と言ったら、図鑑みたいなコレクションのリストを渡された! しかもそれアルファベット順の「A」から始まって「H」までしか行ってない。つまりもう3冊分くらいある!
マジか! やべえ、興奮で手が震えてきた
何を聞こうかな~、やっぱ1番思い出深い作品がいいなあ。私にとってのジャズの原点、ギタリスト、ケニー・バレルの「ミッドナイトブルー」というアルバム。
自分の好きなアルバムを最高のオーディオシステムで、自分だけが聞いている。これを幸せと呼ばずしてなんと呼ぶ! 来てよかった、浜松まで来てよかった! やっぱ有給最高だな! 毎日有給でもいいくらいだよ!!
このほかにもう1枚リクエストしたけど、このことを書き始めると、記事が終わらなくなるので、この辺でジャズの話はとどめておこう。とにかく、トゥルネラパージュは最高です。浜松への引っ越しを真剣に考えるレベルです。
・サラダ軍艦と侮るなかれ
トゥルネラパージュをあとにして、感動と興奮に浸りきっていた私は浮ついた足取りで浜松の街を歩いた。思い出深いアルバムを最上級のサウンドで全身に浴びて、胸がいっぱいだった。
とはいえ胸がいっぱいでもお腹はペコペコ。そこで繁華街を行きつ戻りつしたが、お店に目星をつけられない。駅周辺を歩き回ったが、ココ! ってお店を決められず、結局「沼津魚がし鮨」で手を打つことにした。
静岡の寿司チェーンではあるけど東京にもお店はある。浜松でしか食えないものをと思ったけど、歩き疲れてここで食べることにした。もう歩けん……。
マグロやイカ、生しらす軍艦、真アジなど鮮度の高いネタを食べたわけだが、私が1番印象に残ったのは……。
ホッキサラダ軍艦(税込380円)でした!
「サラダ軍艦(笑)」と侮るなかれ。サラダ軍艦は説明するまでもなく、どこの寿司屋でも提供されるド定番である。その歴史は、長野県の「かっぱ寿司」のまかないが始まりとされている。長野ではブッチギリでサラダ軍艦が人気らしい。
そんな長野の影響もあってか、ここ静岡でもサラダ軍艦は他県よりもしっかりとした一品として提供されている。事実、この軍艦はこぼれんばかりに具が乗っている。1貫でも食い甲斐があり頬張ると、口の中が祭り状態だ。主役を張れるくらいと言って良いだろう。決して、他のネタの引き立て役ではなかった。
ホッキサラダ軍艦に感銘を受けて店を後にし、繁華街のバーで1杯やって浜松の1日目を閉じた。約4時間半の在来線移動はさすがに疲れるな……。
・鰹とパンの相性
翌日の朝は、昨日パリジャンマツダで買ったパンからスタート。購入していたのは、気になった「鰹パン」(税込210円)、「チクワロール」(税込230円)、それに「プリンパン」(税込220円)である。
鰹パンの上に乗っているチョコっぽく見える黒いのは、かつお節だった。
中には、甘辛く味付けをした鰹の角煮。それから玉ねぎとマヨネーズである。それがパンに合うかというと……。合う! めっちゃ合ってる!! ご飯にも合いそうな具材が、パンともしっかり調和していることに驚いた。
ちなみにチクワロールはカットしたちくわと紅生姜の組み合わせ。プリンパンはスイーツのプリンが入っているわけではなく、カスタードクリームとカラメルを合わせてプリンテイストを再現していた。
・楽器への理解をより深める
腹ごしらえしたところで、「浜松市楽器博物館」へ。ここは日本唯一の公立楽器博物館なのである。
浜松市には、ヤマハ・カワイ・ローランド・ボス(BOSS)などの楽器メーカーが本社を置いており、「音楽の街づくり」の一環でこの博物館を設立したそうだ。館内には世界中の楽器が約1300点も展示されており、楽器の音色を聞いたり、それら楽器の歴史を知ることができる。音楽好きなら1日中いても飽きない。
古来から伝わるアジアの楽器は興味深く、楽器が風土や文化、宗教と密接に関わりあっていることがわかる。ピアノをはじめとする西洋楽器の進化も丁寧に解説されているので、楽器への理解も深まるだろう。アフリカの打楽器は部族によって細分化されており、日本人では(少なくとも私は)つかむことのできないビート(ポリリズム)の説明がとても面白かった。
個人的に興味深かったのは、ローランドの大型モジュラーシンセサイザー「システム700」だ。その存在感は圧巻! 今はタブレットやPCですべてをまかなうことができるけど、シンセサイザーが出始めた当初は、こんなに巨大なマシンが必要だったんだなあ。
・静岡おでんは初心者に難しい
さて、帰京する前に昼メシを食べて帰りましょう。静岡で下車して訪ねたのは、静岡県内で店舗を展開する「天神屋」。ここは弁当、総菜、それから静岡おでんで知られるチェーンだ。
静岡おでんは串ものが多い。これはもともと駄菓子屋でおでんを販売しており、勘定をわかりやすくするために、おでんに串を刺したとされている。
このお店はコミュニティスペースに設けられたお店で、フードコート形式のセルフサービス。したがって、おでんも自分で取る。パッと見た感じでどれが何だかわからなかったので、見た目で判断して5種のおでんをチョイスした。。それと「元祖たぬきむすび」(税込200円)も購入。
早速食べようとしたところ、「おでん粉」なるものがあると判明。おでん味噌はわかるけど、おでん粉ってナニ? 初耳なのだが。
おでん粉とはダシ(削り節)と青のりを合わせたもの。静岡おでんにはコレが欠かせないらしい。それを振りかけて、まずは牛すじを~……。と思ったら、これは「鶏皮」(税込150円)だった! いろいろ戸惑う、静岡おでんは初心者に難しい……。
こいつは「なると」(税込150円)だな。それはわかるけど、縦割りだから渦巻きが見えない。串刺しにするから仕方ないか。
これは黒はんぺんだよな? と思ってかじったら、はんぺんの割に硬い! これは「バタ練り生芋こんにゃく」(税込150円)だ! やっぱり初心者には……。
あとはごぼう巻(税込150円)と、コレは~……。大根? いや違うみたい。大根だと思ってとったのに、表面は柔らかいなあ。
半割にすると何か出てきた! つみれが入ってる。コレはナニ? 周りはモッチリしていて、中からつみれ。食べても全然わからない。
調べるにも名前がわからないから調べようがない。降参してお店の人に聞いてみると、これは天神屋のオリジナルおでん種で、「富士の白雪」(税込190円)というそうだ。考えてわからんのも無理はない……。
最後に元祖たぬきむすび、これはローソンが「悪魔のおにぎり」を発売するずっと前から天神屋で販売している定番のひとつ。ローソンのよりも優しい味付けで、ひと口食べるとクセになる味わいである。
というわけで、初めての浜松訪問をトコトン堪能した次第。浜松に行く機会があれば、ぜひ参考にして頂きたい。とくに音楽好き、楽器好きの方は楽しめる街だぞ。静岡グルメはほかにもあるから、それらも堪能してほしい。
参考リンク:トゥルネラパージュ、浜松市楽器博物館、天神屋、沼津魚がし鮨 執筆:佐藤英典 Photo:Rocketnews24