Fi級に格上げするオーレックスの一体型コンポ「AX
音楽を楽しむスタイルは、時代とともにその形を変えてきた。現代においてその中心にあるのは間違いなく、スマートフォンをプレーヤーとするサブスクの音楽配信だ。だが、オーディオファンの中には「利便性はそのままで、もっと音楽として響かせたい」と思っていた方も多いのではないだろうか。
東芝エルイートレーディングが展開するAUREX(オーレックス)「AX-XSS100」は、まさにそんな欲求に対する一つの回答だ。スマホとのワイヤレス接続に向けた現代的な仕様でありながら、その筐体には往年のオーディオブランドとしてこだわりとも呼べる高音質技術が詰め込まれている。
オーレックス「AX-XSS100」オープン価格(実売価格49,500円前後/税込)VGP2026ライフスタイル分科会における部門金賞および企画賞のダブル受賞は、本機が単なる便利ガジェットではなく、現代のリスニングスタイルに “音の質” という軸で勝負した結果だ。本稿では、そんなAX-XSS100の実機レビューをお届けしよう。
独自DSPと伝統的なオーディオ設計を融合させた高音質仕様
AX-XSS100のプロフィールは、一見すると「多機能な一体型オーディオ」だ。CD、USBといった物理メディアに加え、Bluetooth Ver5.3によるワイヤレス再生に対応。FMラジオやヘッドホン出力も備えている。また、本体の液晶ディスプレイや付属のリモコンなどによって、実用性よく作り込まれている。
Bluetoothによる無線接続に対応するほか、本体背面に3.5mmステレオミニ入力、FMラジオのアンテナ用のF型コネクタを搭載(写真右)。本体前面にはCDの出し入れ口に加え、3.5mmステレオミニ出力、USB Type-Aを搭載(写真左)だが、実機に触れてみると、それ以上にオーディオシステムらしい風格のある製品なのだ。
音質設計の最大のポイントは、独自開発のDSP「AUREX Sound Processor」。ハイエンドオーディオ界で評価の高いEilex社(アイレックス社)の技術をベースに、圧縮音源で失われる微小信号を復元する「AUREX HD Remaster」と、周波数/位相特性を補正する「Flat Response Optimizer」を統合。これにより、Bluetooth接続であってもハイレゾ相当の情報量へアップコンバートし、音楽的な表現力を担保している。
AUREX HD Remasterは、デジタル音源が圧縮される過程で失われたデータを原音に近い状態へと復元する 特に微小領域の高周波成分に対して効果を発揮するハードウェア構成も手堅い。スピーカードライバーは、力強い中低域を担う径64mmカーボンコーンウーファーと、繊細な高域を描く径20mmチタンドームトゥイーターによる2ウェイ構成。これらを収めるのは強固なMDF製エンクロージャーだ。
特筆すべきは、筐体の角をカットした「Corner Cutting Enclosure」デザイン。これは単なる意匠ではなく、音の回折(ディフラクション)による周波数特性の乱れを抑制するための音響工学的なアプローチであり、ここにもオーレックスの真面目さが表れている。
カーボンコーンウーファーとチタンドームトゥイーターを採用した2ウェイ構成。実用最大出力は15W+15W(ウーファー)/10W+10W(トゥイーター) Corner Cutting Enclosureによって、音の広がりがより自然に感じられ、音場感がアップするというニアフィールドで音質向上を見せる通好みのサウンド
オーディオ機器のレビューにおいて、いきなり「置き場所」の話から始めるのは珍しいかもしれない。だが、音元出版の試聴室にしてAX-XSS100のサウンドチェックを始めると、音質を語る上で理想的な設置場所を押さえるべきだと気付いた。
まずは何気なく設置した2m程の距離で、スマホのサブスク音源で音質チェックを始めた。ナチュラルで端正な音だ。しかし試聴を進める中で、スピーカー正面のより近く、距離にして約1m前後の、いわゆる「ニアフィールド」のポジションに座り直した瞬間、音質評価が一変した。
試聴室を縦横に移動してポジションを探ると、音質に変化が!次ページAX-XSS100が真に実力を発揮した音質をチェック
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