エボラ出血熱、当初予想より急速に拡大か WHO専門家が警告

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画像説明, 体温を測る住民ら(コンゴ民主共和国)
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コンゴ民主共和国(旧ザイール)で発生しているエボラ出血熱の大規模な流行で、世界保健機関(WHO)は19日、感染が当初考えられていたより急速に広がっている恐れがあると警告した。感染者が多い地域に住む人々は、BBCの取材で恐怖を口にした。

当局によると、エボラ出血熱によってコンゴ民主共和国ではこれまで136人が死亡、514人の感染が疑われている。隣国ウガンダでも1人の死亡が確認されている。エボラ出血熱は、ウイルスによって引き起こされる致命率の高い感染症。

WHOのアン・アンシア博士は19日、感染が急速に広がっているコンゴ民主共和国の北東部イトゥリ州について、「人口移動が激しい、非常に安全性の低い地域」であり、WHOの調査と感染拡大抑制の支援が困難だとBBCの番組で説明。

「調査を進めるにつれ、今回の流行の少なくともいくらかは、すでに国境を越えているほか、他の州にも広がっていることが分かってきた」と話した。

アンシア博士によると、感染はコンゴ民主共和国の南キヴ州にも広がっているという。同州では長年にわたって人道危機が続いている。

同国東部の最大都市ゴマ(人口約85万人)でも感染例が確認されている。同市は、隣国ルワンダの支援を受ける反政府勢力が掌握している。

アンシア博士は、いくつかの州は治安が非常に不安定で人々が頻繁に移動するため、感染のリスクが高く、拡大を招いていると述べた。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、「流行の規模と速度について深く懸念している」と述べた。

ロンドンに拠点を置くMRC国際感染症分析センターは18日、モデル分析の結果、感染の確認には「相当な」漏れがあり、感染者がすでに1000人を超えている可能性もあると発表した。

同センターは、流行は「現在確認されているより大規模」で、「本当の規模は依然として不透明」だとしている。

画像提供, World Health Organization/Handout via Reuters

画像説明, WHOは個人用防護具(PPE)や医薬品など大量の医療物資をコンゴ民主共和国に送っている

コンゴ民主共和国イトゥリ州に住む男性はBBCの取材に対し、感染した人々が「非常に早く」死に至っており、「エボラによってみんなが苦しんでいる」と話した。

「ビッグボーイ」と名乗った男性は、人々が「本当に怖がっている」とし、自分を守るためにできる限りのことをしていると説明。きれいな水で手を洗うなどの予防策を取っているが、マスクなどの防護用品は手に入れられていないと述べた。

同州住民のアルフレッド・ギザさんは、人々は脅威を認識しており、身を守るためのマスクを受け取るのを待っていると話した。また、家族や友人がこの病気にかかったらどうすればいいのか分からないと語った。

赤十字は、感染例が早期に特定されず、各地域で情報が不足し、医療体制が対応し切れなくなると、エボラ出血熱は急速に拡大する恐れがあると警告している。また、現在の感染拡大では「それらの条件がすべてそろっている」と指摘した。

コンゴ民主共和国のフェリックス・チセケディ大統領は19日、国民に「冷静さ」を呼びかけ、警戒を怠らないよう促した。

今回の感染拡大は、長年にわたって紛争が続いてきた地域で発生している。そうした地域では、病院や診療所は損壊または破壊され、何百万人もが自宅を離れて避難している。ほとんどの人は不衛生な環境で生活している。

この地域にはまた、南スーダンでの戦闘から逃れてきた難民が1万1000人以上いる。さらに、金鉱での仕事を求める人々の大規模な移動もみられる。

今回の感染は、4月24日に最初に確認された。ただ、その数週間前から、感染拡大が起こっていた可能性があるとされる。

・今回の流行の原因は? エボラ出血熱はウイルスによって引き起こされる病気だ。発症はまれだが、症状は深刻で、多くの場合で死に至る。流行の原因となるエボラウイルスは3種あり、今回は、これまで2回しか流行していない珍しい「ブンディブギョ株」がかかわっている。

・どうやって感染する? 血液など感染者の体液や吐しゃ物などを介して、人から人へと感染する

・致死率は? 過去のエボラウイルスのブンディブギョ株の流行では、感染者の約30%が死亡した

・どんな症状が出る?  初期症状は突然現れ、発熱、頭痛、倦怠感など、インフルエンザに似た症状が見られる。病気が進行すると、嘔吐や下痢が現れ、臓器が機能しなくなる。一部の患者では、内出血や外出血が見られる

・発生源は?  流行は、オオコウモリ(フルーツコウモリ)など感染した動物から人が感染することで始まる

・ワクチンはある? ザイール株に対するワクチンはある。だが、WHOによると、今回のブンディブギョ株に対するものはない

・過去の大流行は? 2014~2016年に西アフリカで2万8600人以上がエボラウイルス(ザイール株)に感染し、1976年の同ウイルス発見以降で最大規模の流行となった。ギニア、シエラレオネなどの西アフリカの国々のほか、アメリカ、イギリス、イタリアなどにも広がり、1万1325人が死亡した。

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