国連安保理、トランプ氏のガザ和平案を支持する決議案を採択
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国連安全保障理事会は17日、アメリカのドナルド・トランプ大統領によるパレスチナ・ガザ地区の和平に関する20項目の計画を支持する決議案の採決を行い、アメリカ、イギリス、ソマリアなど13カ国の賛成多数で採択した。反対票はなく、ロシアと中国は棄権した。この決議案はアメリカが提出した。
トランプ氏のガザ和平案には、ガザに展開する国際安定化部隊(ISF)の創設が含まれる。アメリカは、複数の国がISFへの参加を申し出ているとしている。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官は、今回の採択は、「停戦の定着に向けた重要な一歩」だと述べた。
イスラム組織ハマスは、この決議案はパレスチナ人の権利と要求を満たしていないとして一蹴した。
ハマスはメッセージアプリ「テレグラム」で、トランプ氏の計画は「ガザ地区に国際的な後見メカニズムを押し付けるもので、我々の民や派閥はこれを拒否する」と表明した。
さらに、「抵抗勢力の武装解除を含む、ガザ地区における任務や役割を国際部隊に与えれば、国際部隊の中立性を奪い、占領者側を支持する紛争当事者に変えてしまう」と付け加えた。
決議にもとづき、ISFはイスラエルやエジプト、新たに訓練を受けて審査されたパレスチナ警察と連携し、境界地域の安全確保やハマスを含む非国家武装組織の恒久的な武装解除のプロセスを進めることになる。
ガザの警察はこれまで、ハマスの権限下で活動してきた。
アメリカのマイク・ウォルツ国連大使は、ISFは「地域の安全確保や、ガザの非武装化支援、テロインフラの解体、武器の排除、パレスチナの民間人の安全確保を任務とする」と安保理で説明した。
安保理はまた、ガザの暫定的な統治機関「平和評議会」の設立も承認した。これはパレスチナの技術官僚的で非政治的な委員会によるガザ統治を監督し、ガザの復興や人道支援の提供を管理する役割を担う。
決議によると、2年におよぶ戦争で荒廃したガザの再建資金は、世界銀行が支援する信託基金から拠出される。
ISFと平和評議会はパレスチナの委員会や警察とともに活動するという。
トランプ氏は安保理で「歴史的」な採決が行われたとし、平和評議会を「承認し、支持する」ものだと述べた。トランプ氏が議長を務めるとする平和評議会の最終メンバーは近く発表されるとした。
「これは国連史上最大の承認の一つとして歴史に刻まれ、世界中にさらなる平和をもたらし、真に歴史的な瞬間となる!」と、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に書いた。
以前の草案とは異なり、この決議はパレスチナ人の自決権とパレスチナ国家樹立への信頼できる道筋に言及している。こうした文言は、複数の理事国が強く求めたものだった。
イスラエルはパレスチナ国家樹立に強く反対しており、将来的な国家樹立への大きな障害となっている。主要なアラブ諸国は、決議文にパレスチナの自決権を盛り込むよう起草者に圧力をかけていた。
国連事務総長の報道官は、この決議が「現地で具体的かつ緊急に必要な措置へと(中略)転換され」、「2国家解決の実現に向けた政治的プロセス」へとつながる必要があると強調した。
アメリカ、パレスチナ自治政府(PA)、エジプト、サウジアラビア、トルコを含む複数のアラブ地域とイスラム圏の指導者らは、決議案の迅速な採択を求めていた。
パレスチナ自治政府は声明で、決議の条件は「緊急かつ即時に」実施される必要があると述べた。
パレスチナ自治政府や、アラブ地域やイスラム圏の8カ国が決議案を支持したことなどから、ロシアと中国は拒否権を行使せずに棄権し、決議案は採択された。
ロシアと中国の両政府は決議を批判している。主要なメカニズムの構成が不明確えあること、国連の参加が保証されていないこと、2国家解決への確固たるコミットメントを改めて明確に表明していないことを、批判の理由に挙げた。
トランプ氏による和平案の第1段階は10月10日に発効した。第1段階にはイスラエルとハマスの停戦のほか、イスラエル人人質やパレスチナ人拘束者の引き渡しが含まれる。これは「非常に壊れやすい最初の一歩」だと、ウォルツ国連大使は述べた。
この和平案は、2023年10月7日にハマス主導の武装勢力がイスラエルを攻撃して以来続いていたガザでの戦闘を事実上停止させた。イスラエル南部への奇襲では、約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。
以来、ガザでは少なくとも6万9483人が殺害されたと、ハマス運営のガザ保健省は報告している