米国株のリスク選好続く、利下げ観測とAIブームが追い風-警戒感も

米国株は29日に下落したものの、米ウォール街のリスクオン選好は勢いを保ったまま9月に突入しつつあり、投資家の多くは慎重な姿勢をほとんど見せていない。

  市場はここ1週間で、米連邦準備制度への新たな政治的圧力やエヌビディアの慎重な売上高見通しに直面したが、ほとんど動じなかった。29日には薄商いの中、テクノロジー株中心に売られたが、S&P500種株価指数は8月に4カ月連続の月間上昇を記録した。

  リスク選好は社債や暗号資産(仮想通貨)、景気に連動しやすい通貨にまで広がり続けている。その根拠は一見単純だ。米利下げ観測が強まり、消費支出が4カ月で最大の伸びとなり、人工知能(AI)ブームもなお勢いを保っている。

  リスク要因が積み上がる中でもこうした点は崩れていない。貿易摩擦や労働市場の冷え込み、債券市場の相反するシグナルも相場の上昇を妨げておらず、むしろ金融緩和が間近に迫っているとの観測を強め、景気拡大がなお持続可能だとの見方を支えている。

  強気相場を測る一つの方法が、ソシエテ・ジェネラルが算出するクロスアセットのモメンタムを評価する指標だ。銅と金、景気循環株とディフェンシブ株、暗号資産、ハイイールド債など11の要素を組み合わせるもので、4月の関税ショック以降、少なくとも5回は強気の水準に迫っており、今月も再びその水準に達した。

  チャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメントの最高経営責任者(CEO)、オマー・アギラー氏は「投資家は、関税の影響が当初懸念されたほど壊滅的ではないと理解しつつあり、これが自信を後押ししている。いまや堅固なファンダメンタルズがその自信を裏付けている」と語った。

  もう一つの特徴はボラティリティーの低さだ。CBOEグローバル・マーケッツによると、主要資産の短期インプライド・ボラティリティー(予想変動率、IV)は長期平均を下回っており、約4年ぶりの低水準に達しつつある。わずか数週間前に発表された米雇用統計で、過去2カ月の非農業部門雇用者数の伸びが大幅下方修正されたものの、4-6月(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は速報値から上方修正され、投資家が楽観を維持する材料がまた一つ加わった。

  CBOEのデリバティブ(金融派生商品)市場情報責任者のマンディ・シュ氏は、市場が落ち着いている背景には経済面での要因があると指摘する。「関税を巡る混乱があっても、消費は堅調で、インフレも抑制され、米利下げが控えている。こうした状況が変わらない限り、短期的にボラティリティーは引き続き低水準で推移するだろう」と述べた。

  一方、警戒する声もある。キャップストーン・インベストメント・アドバイザーズの戦略的投資パートナーシップ責任者、ペーター・ファンドーイエベールト氏は「あらゆる資産のボラティリティーが同時に低下するのは慢心の表れだ」と指摘。「米金融当局は政権から強い圧力を受けており、今後12カ月間の関税による経済的影響もまだ不透明だ。市場は先行きの不確実性に比べて落ち着き過ぎている」と警鐘を鳴らしている。

原題:Wall Street’s Momentum Train Hits Full Speed Into September(抜粋)

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