録音、文字起こし、要約までこなしてくれる賢いAIボイスレコーダー「Notta Memo」

 AI文字起こし、議事録サービスを提供するNottaが、専用のハードウェアも展開しているのをご存じだろうか。本記事では、6月に発売されたカード型のAIボイスレコーダー「Notta Memo」を試しながら、使用感を紹介していく。

 Notta Memoは、スマートフォン向けのNottaアプリとシームレスに連携し、会議や電話の録音、文字起こしができるデバイス。録音データはPCブラウザ版Nottaとも連動するため、これまでNottaのサービスを利用してきたユーザーにとっても使いやすい。

 執筆時点で、Amazonからの販売価格は2万3500円。購入時には、Nottaの多機能性をある程度享受できる「スタータープラン」も付随するため、ランニングコストの面で見ても、お得感が強いアイテムだ。

 11月21日12時~12月1日に開催される「Amazon ブラックフライデー」では、1万8800円の割引価格となる。さらにクーポンコード「ZNFD34I5」を入力することで、さらに20%引きの1万5040円と、さらにお得に購入できる。

 まずは外観から見ていこう。Notta Memoはクレジットカードほどのサイズ感で、厚みはカード3枚分ほど。胸ポケットに忍ばせておいても快適なサイズだ。重さも約28gと軽量なため、持ち運びにストレスはほぼない。

 購入時には、Notta Memoを収納できるMagSafeケースも同梱される。対応するiPhoneシリーズやPixel 10シリーズであればそのまま引っ付けられるのに加え、MagSafe用のリングも同梱されるため、非対応機種に装着することも可能だ。

 本体には電源ボタンとモード切り替えができるスイッチ、ディスプレイが搭載されている。電源ボタンの長押しで録音の開始・終了ができ、動作状況はディスプレイから確認できる。

 スマートフォンのレコーダーアプリの場合、アプリを起動して、ディスプレイ上の録音ボタンをタップする必要があるが、物理的なボタンを長押しするだけで動作するため、本体を見ていなくても録音を開始できる手軽さが魅力的だった。

 ディスプレイに目を向ければ、しっかりと録音されているかが一目で確認できるのも、安心感があっていい。スマートフォンの場合、設定次第では、長時間録音をしていると、画面がオフになってしまい、状況が分かりにくくなるといった難点もある。

 また、何かしらの要因で録音が勝手に停止してしまうこともあるが、Notta Memoであれば、こうした懸念点がほぼない。

 ディスプレイ左のスイッチでは、「通話録音モード」と「会議録音モード」の切り替えができる。通話録音モードは、内蔵される骨伝導マイクも活用しながら、スマートフォンの振動を検知して録音を行う。会議録音モードは、本体をテーブルに置いたり、手に持って録音する際に使用する。

 充電は本体背面にある充電ポートに、同梱される専用充電器を接続して行う。バッテリー駆動時間は、録音時に約30時間、待機時に約28日となる。毎日3~4時間の会議があったとしても、週に1回充電すれば余裕でバッテリーは持つ安心感は大きい。電池切れの心配をほとんどしなくていいのも、スマートフォンのレコーダーアプリにはない特徴だ。

 Notta Memoでは、先に触れた骨伝導マイクに加え、4つのMEMSマイクを使って録音を行う。推奨録音距離は3メートル以内となっており、小さめの会議室であれば、手元で操作をしていても問題ない。基本的には、会話の内容が自分の耳でも聞こえるような距離ならば、しっかりと録音できる印象だ。

 個人的には取材時に使用することが多く、話者との距離は離れていることがほとんどだが、登壇者がマイクを通して喋るような環境であれば、推奨録音距離はそこまで意識しなくても問題なかった。

 録音したデータは、Notta MemoがBluetoothやWi-Fiに接続されたタイミングで、自動的にNottaアプリに同期される。つまり、録音を行うだけであれば、インターネット環境は必要ない。そのため、スマートフォンを持ち込めない会議などでも使いやすい。

 録音データの同期が完了すると、自動的にノートが作成され、スマートフォンアプリ、PCブラウザから確認ができる。同期の完了時には、登録しているメールアドレス宛に通知が来るため、作業時間のロスも減らせるのがありがたい。

 ノートから確認できる文字起こしの精度はかなり高い印象。専門用語などは取りこぼしている部分も見かけるが、概要はしっかりと押さえられており、見返して話の流れがわからなくなるような部分は見受けられなかった。

 また、プレミアム以上のプランに加入していれば、文字起こしが間違っている箇所に対して単語登録を行うことで、書き換え、学習ができる。

 録音したデータに対し、再生時間に合わせてブックマークやコメントをつけることもできる。後から文字起こしデータをチェックする際にあると便利な機能だ。

 話者の自動識別機能もついているため、複数人での会議や、登壇者が変わる発表会で重宝する。話者は、後から名前を変更することで、誰がどの発言をしたのかが分かりやすくなる。

 要約機能も、要点がうまくまとめられている。KDDIの決算会見にて文字起こし、要約を試したところ、概要から各事業の業績、次のステップといった内容が箇条書きになって出力されている。要約の方法について、30個以上のテンプレートが用意されており、好みのまとめ方が選択できるのもありがたい。録音の内容から、マインドマップの作成も可能だ。

 特に便利に感じたのがAIチャット機能で、録音したデータの内容について質問をすると、該当する部分を探し出し、簡潔に回答してくれる。長時間に渡る会議や取材は、抽出したいポイントを振り返るのが面倒になりがちなため、チャット形式で抜き出せると、作業効率が大幅に上がる。

 文字起こしではなく、録音した音声を再生して内容を確認することもできる。プレミアム以上のプランに加入すれば、再生速度が変更できるほか、AIによるノイズキャンセリングや、無音部分のスキップ機能も利用できる。ただ録音するのではなく、AIを組み合わせることで、録音データもより聞き返しやすくなっているのが、Nottaの特徴だ。

 ちなみに、録音と同時に文字起こしを行う「リアルタイム文字起こし」機能も利用できる。機能をオンにすると、文字起こしの精度が若干落ちるとの注意書きがあるが、気になるほどの精度低下は見られなかった。会議、取材時に、スマートフォンやPCから会話内容のチェックができると、聞き逃した部分をさっと確認でき、作業が捗る。

 先に触れた通り、Notta Memoを購入すると、月間300分の文字起こし、AIチャットやAI要約などの機能が利用できる「スタータープラン」が無料で利用できるようになるが、よりヘビーにNottaのサービスを利用したい場合は、有料プランの契約をおすすめしたい。

 以下画像の通り、プレミアムプランが1980円/月、ビジネスプランが4180円/月となる。年間プランの契約をすれば、40%割引されるため、Notta Memoを購入し、長期的にNottaを活用していく見込みであれば、年間プランがお得になる。

 Notta Memoは、ボイスレコーダーだけでなく、録音や要約機能のできるスマートフォンもライバルと言える製品だが、専用デバイスならではの音質や、スマートフォンのバッテリー残量を気にせずに使える利便性、多数用意されている要約テンプレートなどが魅力。

 個人的には、瞬時に録音、文字起こしのデータがスマートフォンとPCの両方に同期されることで、シームレスに作業に移行できる点が最も気に入っている。スマートフォンの背面に装着しておけば、通話の録音も簡単に行え、持ち運びも苦にならないため、万人に試してもらいたいアイテムだ。

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