押し目買い狙うウォール街、その時は「まだ」-強い不確実さ拭えず
今年1-3月(第1四半期)の米国株のパフォーマンスは、それ以外の世界的な株と比較した場合、1980年代以降で最悪の四半期となる見通しだ。
ここに至るまで多くの下落局面があったことは確かだ。これは買いを入れる上で投資妙味のあるエントリーポイントが複数あったであろうことも意味する。ウォール街の大半の市場参加者は、いつ安全になるのかと考えを巡らせている。しかし、貿易戦争から経済成長、地政学的な緊張まで多くの不確実要素がある中でコンセンサスは「まだ」のようだ。
サンクチュアリ・ウェルスの最高投資ストラテジスト、メアリー・アン・バーテルズ氏は「不確実さから抜け出せずにいる」と指摘。「関税が具体的にどのようなものになるのか、またそれが企業収益にどう影響するのかが明らかになるまでは、米国株が大幅に回復するとは確信できない」と続けた。
S&P500種株価指数は年初から5.1%下落し、米国を除くMSCIIオールカントリー・ワールド指数の6.5%高に大幅な後れを取っている。ブルームバーグがまとめたデータに基づくと、1988年以降のどの四半期と比べてもこれほどの差はなかった。
主な問題は米大手テクノロジー企業の株下落だ。人工知能(AI)に対する投資家の熱狂に支えられ、大手ハイテク株は過去2年間の株高をけん引してきた。これは取引パターンにも表れており、大手テクノロジー銘柄以外は大半が比較的持ちこたえている。しかし、ハイテク大手7社「マグニフィセント・セブン」銘柄は大幅下落となっている。
S&P500種は2024年までの2年連続で20%余りの上昇率を記録。しかし株高によってポジションが伸長され、バリュエーションは割高になり、市場には脆弱(ぜいじゃく)さが見られた。トレーダーらは安全な避難場所を求め、S&P500種とナスダック100指数のパフォーマンスは四半期ベースで22年以来の大幅安となる見通しだ。
それでも、ウォール街の一部では米大型株の強さへの信念は揺らいでいない。
アプタス・キャピタル・アドバイザーズの株式およびポートフォリオ・マネージャーの責任者であるデビッド・ワグナー氏は「世界株のバリュエーションが非常に割安なのは誰もが知っている。しかしそれは15年も続いている話だ」と話す。ワグナー氏はこの流れを確認する必要があるとした上で、大手テクノロジー株の投資判断をオーバーウエートで維持している。
サンクチュアリ・ウェルスのバーテルズ氏は「長期的に見た場合、テクノロジーは依然として特に有力だ」と語った。
原題:Wall Street Wants to Buy Stock Market’s Dips, Question Is When
(抜粋)