世界卓球2025ドーハ 「梅村礼の眼」 男子ダブルス決勝 篠塚大登/戸上隼輔 対 林昀儒/高承睿 篠塚選手のポジショニングがポイントになった

[国際大会]

2025.05.26

 世界卓球2025ドーハでは、2019年以来6年ぶりに、元全日本チャンピオン、日本代表にして、現在はTBE(タマス・バタフライ・ヨーロッパ)に勤務し、世界の卓球事情に通じた梅村ならではの眼で世界卓球で繰り広げられた名勝負を解説する。 ここでは、男子ダブルス決勝篠塚大登戸上隼輔(日本)対 高承睿/林昀儒(中華台北)の一戦について話を聞いた。

篠塚のポジショ ニングに注目していたという梅村 中華台北ペアは高承睿のフォアハンドにつなぐ戦術

▼男子ダブルス決勝篠塚大登/戸上隼輔(日本) -6,5,-7,6,6

  高承睿/林昀儒(中華台北)

篠塚選手のポジショニングに注目していた

 篠塚選手、戸上選手おめでとうございます!本当にいいプレーでしたね。 試合が始まる前に私が注目していたのは、篠塚選手のポジショニングです。戸上選手はどこからでも決定力の高い両ハンドがありますが、篠塚選手はそこまで決定力の高いボールはありませんが、前陣でカウンターを狙うことも中陣でラリーを引くこともできます。その篠塚選手がペアの連係の中でどのような役割を担うのか。そこがポイントになると思っていました。

 中華台北ペアは黄友政/梁靖崑(中国)、林高遠/林詩棟(中国)の中国ペアを2連破して、準決勝ではルブラン兄弟を破って勢いに乗っています。一発で決めるというよりも、しつこくラリーをして得点している印象があったので、それを日本ペアがどのように攻略するのかに注目しました。

 中華台北ペアは、どの試合でも役割分担がはっきりしていて、林昀儒がもちろん主軸ですが、勝敗は高承睿次第と考えていたのでしょう。高承睿はバックハンドでは安定性、決定力ともにフォアハンドよりも落ちるので、林昀儒は、決めるボールは自分が決めるけど、ラリーになったら高承睿のフォアハンドをいかに生かすかを考えたコース取り、配球をしていたように感じます。

 そのような中華台北ペアに対して、日本ペアは同じ距離でラリーを引き合うと若干分が悪いかなと思っていました。そこで、篠塚選手はなるべく前でプレーするのがいいのではないかと考えていましたが、2ゲーム目以降は日本ペアのそうした意図が見えたので、いい修正だと思って見ていました。

最終ゲームは日本の戦術が徹底していた

 1ゲーム目は、日本ペアの流れは悪くありませんでしたが、戸上選手がちょっと力んでいて、ミスが多かったですね。そこは2ゲーム目以降はうまく修正できていたと思います。 お互いの好プレーもミスもあって、取って取られてで最終ゲームの勝負になりましたが、最終ゲームは日本の戦術がより明確に徹底していて、林昀儒のフォア側、高承睿のバック側にボールを集めていました。その戦術がうまくはまって、日本ペアが主導権を握ることができていましたね。

篠塚/戸上にはさらに成長をつづけてほしい

 日本ペアは準決勝でブラソー/ドール(フランス)がけがで棄権したので、準決勝を戦わずに決勝進出ができましたが、そういうチャンスを生かせるかどうかというのもすごく大事なので、大舞台でチャンスをものにできたのも実力だと思います。 今後は2028年のロサンゼルスオリンピックを見据えた戦いになってくると思いますが、日本ペアは今大会で見つけた課題があると思うので、さらに成長を続けてほしいですね。

卓レポX(旧ツイッター)

(取材/まとめ=卓球レポート)

\この記事をシェアする/

関連記事: