韓国:首相の弾劾訴追は憲法裁が棄却、職務復帰で大統領権限を代行へ…近く尹錫悦大統領にも宣告 : 読売新聞

 【ソウル=小池和樹】韓国の憲法裁判所は24日、国会で野党側が発議した 韓悳洙(ハンドクス) 首相の 弾劾(だんがい) 訴追を棄却した。韓氏は87日ぶりに大統領代行に復帰した。

韓悳洙氏=ロイター

 野党側は 尹錫悦(ユンソンニョル) 政権幹部らに対する弾劾訴追案を相次いで発議しているが、昨年12月の尹大統領による戒厳令宣布を巡って弾劾訴追された政府高官の中で、憲法裁が判断を下すのは初めて。裁判官8人(9人のうち欠員1)のうち、5人が棄却、弾劾訴追の要件を満たしていなかったとして却下が2人、 罷免(ひめん) 賛成1人と判断が分かれた。弾劾審判では6人の賛成がないと罷免できない。

 憲法裁は宣告の中で、韓氏が戒厳令宣布の手続きに正当性を与えるために積極的な行為をしたという証拠や客観的資料はないとし、「憲法に違反したとみることはできない」と指摘した。韓氏は宣告後、「賢明な決定に感謝する」とコメントした。

 韓氏を巡っては、昨年12月3日の戒厳令宣布直前の国務会議(閣議)に出席し、宣布をほう助したなどとして、野党の賛成多数で弾劾訴追案が可決された。韓氏は、弾劾訴追された尹氏の権限を代行していたが、職務停止となっていた。大統領代行が弾劾訴追されたのは初めてだった。

 左派系最大野党「共に民主党」が多用してきた弾劾訴追は相次いで棄却されており、今回の韓氏の訴追棄却で、野党側の政治手法に批判が集まる可能性がある。

 韓氏の弾劾審判が終わったことで、憲法裁は近く、尹氏に対する宣告を行うとみられる。尹氏の審理は2月25日に結審しているが、今月23日までに宣告の期日は決まっていない。

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