米高格付け債の格下げペース加速-高水準の社債価格、妥当性に疑念

Bella Farr、Chiara Albanese

  • 金額ベースで格下げが格上げを上回ったのは21年前半以来
  • 米経済には多くの不確実性-社債のバリュエーションは高水準続く
Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

米企業の格付け引き下げが増加し、業績の悪化を示す新たな兆しとして注目されている。社債のバリュエーションは高止まりしており、その妥当性を巡る疑念が高まっている。

  JPモルガン・チェースのストラテジストによると、4-6月(第2四半期)に米国の高格付け債約940億ドル(約13兆8600億円)相当が格下げされ、格上げはわずか780億ドルにとどまった。金額ベースで格下げが格上げを上回ったのは、2021年前半以来。

  エリック・ベインスタイン氏らJPモルガンのストラテジストは、経済の先行き不透明感が強まる中で年内に格下げのリスクが高まる企業がさらに増える可能性があると指摘した。

  今の米経済には、貿易戦争の激化が続くかどうかなど、多くの不確実性がある。しかし、社債のバリュエーションは依然として高水準にあり、米投資適格債のスプレッド(上乗せ金利)は約0.8ポイントと、20年間の平均(約1.5ポイント)を大きく下回っている。

  高利回り(投資不適格級)債のスプレッドも約2.8ポイントにとどまり、20年平均の4.9ポイントには遠く及ばない。こうした状況では、どの債券を選ぶかが非常に重要になる。

  プリンシパル・アセット・マネジメントで投資適格債を統括するジョン・カラン氏はインタビューで、「いまやクレジット選別が極めて重要だ。正しい見通しを持つことが不可欠」だとし、「格下げへの脆弱(ぜいじゃく)性が高まっている」と述べた。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)は、小売業のように長期的な衰退が見込まれる業種や、金属・鉱業や住宅建設、自動車といった借り入れ増加の短期的リスクを抱える分野には慎重だ。マルチセクタークレジットのポートフォリオマネージャー、ソナリ・ピエル氏が明らかにした。

  同氏は一方で、潤沢なフリーキャッシュフローや堅調な利益成長トレンドが続くと見込まれる銀行やパイプライン企業、そしてヘルスケアや公益事業、防衛関連といったディフェンシブ的なセクターへの投資に傾斜しているという。

  格下げや投資適格級から投機的格付けへ転落する「リスクが高いと見込まれる市場分野では、控えめな投資にとどめている」とピエル氏は明らかにした。

原題:Worst Spate of Downgrades Since 2021 Signals Pain: Credit Weekly (抜粋)

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