東京Vのセットプレーに振り回された横浜FM、前半だけでCK12本献上「やむを得ないものもあったけど…」

残留争いの大一番を落とした横浜F・マリノス

[8.9 J1第25節 東京V 1-0 横浜FM 味スタ]

 夏場に入って直近3試合2勝1分と浮上の兆しを掴んでいた横浜F・マリノスだったが、この日は東京ヴェルディに0-1で敗れ、降格圏脱出のチャンスを逃した。試合後、主将のMF喜田拓也は「悔しいし、勝つには足りなかったと思う」と敗戦を受け止めた。

 唯一の失点は、セットプレー対策という課題が露呈した。後半17分、自陣右サイドで与えたFKを短いパスで再開され、攻撃の起点を作られると、そこから守備網が破綻。MF新井悠太のドリブル突破でバイタルエリアを横断された後、右サイドからフリーでのクロスを許し、最後はファーサイドでカバーした喜田がDF谷口栄斗に競り負け、ヘディングで叩き込まれた。喜田と谷口は身長差10cm以上のミスマッチ。チームとして課題の残る失点だったと言える。

 この日の横浜FMは立ち上がりから東京Vのサイド攻撃に押され、前半だけで12本のCKを与えるなど、セットプレーに振り回され続けた。試合後には、決勝ゴールを決めた谷口が「(クロス攻勢は)エウベル選手、ヤン・マテウス選手に守備をさせる狙いがあったけど、ハーフタイムに『ファーも空いているので見ておいてくれ』という話をした」と明かしており、豊富なセットプレーの試行回数が得点につながったのは明らかだった。  そのため喜田は失点シーンを振り返るにあたって「まずそもそもセットプレーの数が多い。そこは反省点」と強調。「やむをえないものもあったけど、自分たちのプレー次第で確実に何本か減らせるのは間違いない。そこはチームで改善しないといけない」と危機感をあらわにした。  さらに喜田はセットプレーの守り方についても「ファーサイドはどこのチームでもチャンスになりうるところ」とした上で「ゾーンかマンツーかという話もあるけど、最後のところの危機察知でどこが危ないかは瞬時に判断しなければいけない」と指摘。「セットプレーの数を減らすところと、セットプレーになった時の危機察知。どこが危ないかの感度を上げてオーガナイズする部分が足りなかったから失点したと思う」と課題に向き合っていた。  これで夏場の中断期間前に続いていた負けなしが3試合でストップ。今季の横浜FMは3月の国際Aマッチウィーク明けに公式戦8連敗を含む12戦勝ちなし、6月の中断明けにも公式戦4連敗を喫しており、準備期間の長さが結果に結びついていないという現実がある。  それでも喜田は「折れずにひたむきにやり続けること。ここで下を向いて折れてしまえば自分たちからギブアップすることになる。それだけは絶対にない」と断言。残留圏と暫定勝ち点差3の残留争いへ、「自分たちが土俵際だというのは変わらないので危機感を持っているし、目の前の試合で3ポイントを取っていくしか道はない。次の試合でそれを達成するべく準備するしかない」と力を込めた。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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