中国で結婚難につけこみ、婚姻前に250万円ゆすり取られるなど金銭トラブル頻発…政権が抑制策を強化
【広州=遠藤信葉】中国の 習近平(シージンピン) 政権が、結婚に絡んだ金銭トラブルの抑制策を強化している。経済の減速などを背景とした結婚難につけ込んだ違法行為が頻発しているためで、減少傾向にある婚姻数の回復につなげたい考えだ。
中国の国旗習政権は2月下旬、今年の優先課題を記した「中央1号文件」を発表し、結婚詐欺の取り締まり強化を明記した。こうした方針は昨年は盛り込まれていなかった。最高人民法院(最高裁)も近年発生した結婚に伴う金銭トラブルについて、典型的な4事例と司法判断を示した通達を出した。
通達によれば、アプリを通じて交際した女性から婚姻前に金銭を要求された男性の事例では、8か月間で計12万元(約250万円)以上をゆすり取られた。裁判所は、女性は「物質的欲求を満たそうとしただけ」として全額返金を命じた。
中国では男性が高額の結納金を払う慣習が結婚を阻む要因の一つと考えられており、政府は近年、慣習の是正を掲げている。通達では、短期間の結婚を繰り返し複数の男性から結納金を得た例や、結婚 斡旋(あっせん) 業者が高額な手数料を請求した例も紹介した。
中国民政省によると、昨年の中国の婚姻数は約610万6000組で、最多だった2013年(約1346万9000組)の半数以下となった。政府が金銭トラブルの抑制に動くのは、少子化を加速させる婚姻の減少傾向に歯止めがかからないことを懸念しているためとみられる。しかし、高学歴化に伴う価値観の変化や教育費の高騰も非婚化や晩婚化の一因として指摘されており、中国のSNS上では「結婚するかしないかは本人の選択が尊重されるべきだ」との意見が目立つ。
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