日本株の新たな指標「読売333」開始、投資促進に期待…「等ウェートで投資家に新しい物差し」

 日本株の新たな指標となる「読売株価指数(読売 333(さんさんさん) )」の算出・公表の初日となった24日、東京株式市場は小動きとなり、既存の代表的な株価指数と大きな差は出なかった。それでも、特徴的な算出方法を採用する読売333の誕生で、中長期的に日本企業への投資や個人の資産形成が進むことが期待される。(市川大輔)

新たな物差し

株価ボードに表示され、注目を集めた「読売333」の指数値(24日、東京都中央区で)=杉本昌大撮影

 3万5507円74銭――。

 24日夕方、報道陣や関係者が詰めかけるなか、岩井コスモ証券(東京・茅場町)の株価ボードに読売333の初の値が表示された。構成する333銘柄のうち、値下がりが235(約71%)に上る一方、値上がりは94(約28%)にとどまった。同じ方法で算出した前週末終値と比べて155円90銭安だった。

 算出を担う野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングの八木忠三郎副社長は報道陣に対し、「(算出方法の)等ウェートによる値動きで、投資家に新しい物差しをお届けできる」と強調した。

既存指数との比較

株価指数の値動きの違い

 TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価(225種)と比較すると、銘柄数と算出方法により違いを生むことがわかる。

 読売333が採用する算出方法の「等ウェート」は、構成する333社の株価の値動きを等しく(約0・3%ずつ)取り入れ、333社の上昇・下落率の平均を示す。このため、多くの銘柄が上昇や下落など一定の方向に向くと、指数値にも同じ傾向が表れる。岩井コスモ証券の林卓郎投資情報センター長は「投資家にとり、等ウェートはイメージしやすい」と話す。

 これに対し、TOPIXは約1700社と幅広い銘柄で構成され、日本株全体の動きを把握しやすい。算出方法は「時価総額加重」で、企業の時価総額の大きさに比例して値動きを反映する。24日の下落率は読売333(0・44%)とほぼ同じ(0・47%)だった。

 一方、日経平均の下落率は0・18%(68円57銭安)にとどまった。算出方法は「株価平均」で、1株あたりの株価の高い企業の値動きを強く反映し、構成比率の偏りが大きいことが特徴だ。24日は構成比率の高いソフトバンクグループが3%上昇し、日経平均を47円押し上げた。

 今後、相場によっては、3指数の値動きが大きく異なる場合もある。

期待の声

 読売333の開始に期待の声も上がる。

株価ボードに初めて表示された「読売333」の指数値(24日、東京都中央区で)=杉本昌大撮影

 大和証券グループ本社の荻野明彦社長は24日、報道陣の取材に応じ、「色々な指標のそれぞれの視点が、新たな価値を生むだろう」と期待を示した。日本商工会議所の小林健会頭は記者会見で、「貯蓄から投資という流れの中で、投資の対象の幅が増えることはいいことだ。東京以外の企業も多く入っている」と述べ、日本全体の経済発展に資するとの認識を示した。

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