【日本市況】円が153円台に上昇、介入警戒感-日経平均4日ぶり反落

4日の日本市場では円の対ドル相場が153円台半ばに上昇。片山さつき財務相が円安水準が続く為替相場に改めて警戒感を示したことなどを受けて円が買われた。

  あすの10年債入札を前に債券は下落(金利は上昇)。株式は日経平均株価が4営業日ぶり、東証株価指数(TOPIX)は3営業日ぶりに反落した。

  片山財務相は為替相場について、一方的で急激な動きが見られていると語った。高い緊張感を持って見極めていることに変わりはないとも述べた。発言は前回10月31日の会見と変わらなかった。

  野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、介入を強く示唆するのは「過剰なボラティリティー」と「無秩序な動き」という表現だとし、「こうした発言があればすぐに介入があっても不思議はない」と指摘した。

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国内為替・債券・株式相場の動き
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比0.4%高の153円56銭-午後3時35分現在
  • 長期国債先物12月物の終値は前週末比17銭安の135円87銭
  • 新発10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.675%-午後3時時点
  • 新発30年債利回りは4bp高い3.08%-同
  • TOPIXの終値は前週末比0.7%安の3310.14
  • 日経平均株価は1.7%安の5万1497円20銭

為替

  円は対ドルで153円台半ばに上昇。野村証券の後藤氏は、片山財務相の円安けん制発言や株安に加え、日本銀行の早期利上げを巡る一部観測報道を受けて円が買われたと指摘した。ただ、ドルを売り続ける材料には乏しく、今週後半から来週にかけてドルは155円を試しにいくと予想している。

  ゴールドマン・サックス・グループとバンク・オブ・アメリカ(BofA)は、円は155円に接近しているものの、日本当局による為替介入の可能性は当面低いとの見方を示した。通常介入が行われる条件が「まだ満たされていない」と分析している。

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債券

  債券相場は下落。米国の長期金利が上昇した流れに加え、5日の10年国債入札に向けた売りが優勢だった。

  農林中金全共連アセットマネジメントの長友竜馬シニアファンドマネジャーは、日銀の利上げは予算編成時期を避けて来年1月とみているが、「為替次第で12月に行う可能性がありポジションを取りづらい」と述べた。

  財務省は5日、10年利付国債入札を実施する。発行予定額は前回と同じ2兆6000億円程度。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、現在の水準で入札を迎えれば「キャリー(金利収益)取りの需要があってもおかしくない」とし、無難にこなせるとの見方を示す。一方、入札当日に先回り買いで「利回りが1.65%に近い水準に低下すれば、やや需要が引く可能性がある」と言う。

  アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは超長期債の下落について「月末のリバランス(資産配分の見直し)の買いで堅調だったが月が替わり、いったん利益確定売りが出たようだ」と述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債   不成立 1.240% 1.675% 2.615% 3.080% 3.400% 前週末比  - +2.0bp +2.0bp +3.5bp +4.0bp +4.5bp

株式

  株式は反落し、日経平均は900円超下げて終えた。指数の過熱感から利益確定売りが優勢で、国内企業決算を見極めたい雰囲気やアジア時間の米株先物が軟調なことも重しになった。

  日経平均への寄与度が大きいソフトバンクグループやアドバンテストが売られ、業種別では小売りやサービスなども下げた。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジストは既に大きく上昇していた銘柄で利益確定やポジション調整の動きが出るのは自然なことだと指摘。内需関連株では為替の円安が嫌気されているとも話した。

  半面、東京エレクトロンや住友電気工業、ファナックなど決算が好調だった銘柄は高く、主要指数は上昇する場面もあった。浪岡氏は、半導体関連企業の好調な決算は人工知能(AI)ブームが続くとの投資家の自信を高めていると述べた。

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— 取材協力 Alice French

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