今年もドラフト指名は出るのか? 「オイシックス」&「くふうハヤテ」の“有望株”をピックアップ…高卒&大卒ルーキーの“金の卵”も

スカウトが注目するオイシックスの今井亮太投手(東京国際大時代/写真提供・プロアマ野球研究所)

 昨季からファームに新たに参入した「オイシックス」と「くふうハヤテ」。昨季の成績は、イースタン・リーグとウエスタン・リーグでそれぞれ最下位に終わったが、ドラフト会議では、下川隼佑(オイシックス→ヤクルト育成3位)、早川太貴(くふうハヤテ→阪神育成3位)が指名され、選手育成では結果を残した。今季も多くの選手が両球団に入団している。その中からドラフト指名を狙えそうな“有望株”を探ってみたい。【西尾典文/野球ライター】

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イースタン・リーグの首位打者

 まず、圧倒的な実績を残しているのが、オイシックスの知念大成だ。沖縄尚学時代は投手で活躍した知念は、社会人野球の沖縄電力に進むと、外野手に転向した。その後、オイシックスに移り、昨季は開幕当初から外野のレギュラーに定着。6月のファーム月間MVPを受賞するなど、ヒットを量産した。打率.323、129安打でイースタン・リーグの首位打者と最多安打に輝いている。

 昨年のドラフト会議前には有力候補に浮上しながら、惜しくも指名漏れを経験した。しかしながら、スカウト陣に対して、自らの実力を大きくアピールしたことは間違いない。セ・リーグ球団のスカウトは、知念についてこう話す。

「打撃、特にミート力は、十分に一軍でも勝負できるレベルだと思います。スピードがあって、スローイングも悪くない。(昨年のドラフト会議で)指名がなかったのは、“よくいるタイプ”の左打の外野手だったという点が大きかったと思います。あとは年齢(今年で25歳)もありますね。それでも、ファームでこれだけ結果を残したわけですから、当然、評価はしています。他球団も同様だと思いますね」

 ちなみに、昨季のイースタン・リーグで規定打席に到達して打率3割をクリアしたバッターは知念のみだ。今季もヒットを量産すれば、悲願のドラフト指名が視野に入ってくるはずだ。

成長に期待したい大卒&高卒ルーキー

 大卒のルーキーでは、オイシックスの今井亮太(東京国際大)と、くふうハヤテの平尾柊翔(八戸学院大)を挙げたい。

 今井は、広島新庄時代は控え投手だったが、東京国際大に進むと、才能を開花させる。3年春のリーグ戦(東京新大学野球)で3勝0敗、防御率1.39。最優秀防御率のタイトルを獲得すると、3年秋も4勝0敗とエース格の活躍をみせた。4年になって少し成績を落とすも、190cm近い長身で、ストレートの球速は150キロに迫り、ポテンシャルの高さは申し分ない。

「投げ方は少し荒っぽいですが、長身で馬力がある。制球力もあり、ストライクをとるのに困る様子がありません。ただ、今のところ、NPBで勝負できるボールがないですけども、大学3年から良くなってきた投手ですから、まだここから成長する可能性は十分にあるでしょう」(セ・リーグ球団のベテランスカウト)

 東京国際大の1学年先輩に工藤泰成(徳島インディゴソックス→阪神育成1位)がいる。工藤は、オープン戦で150キロ台後半のスピードをマークして、支配下昇格を視野に入れている。大学時代の成績を比較すると、今井の方が工藤より上だ。何としてもドラフト指名を勝ち取りたい。

 一方、平尾は、春日部共栄時代から埼玉県内で評判だった、強打を誇る左バッターの外野手だ。プロ志望届を出すも、ドラフトは残念ながら指名漏れ。八戸学院大に入学すると、1年春からリーグ戦(北東北大学野球)に出場。2年春と4年秋に、ベストナインを獲得している。

 身長は174cmで上背はないものの、たくましい体格でパンチ力と確実性を兼ね備えたバッティングが持ち味だ。現在22歳と若く、脚力と守備力もある。ウエスタン・リーグで結果を残せば、ドラフト候補にリストアップする球団が出てくるだろう。

 このほか、高卒ルーキーでは、聖光学院のエースとして昨夏の甲子園で好投したオイシックスの高野結羽もセンスが高く、今後、スケールアップしてくれば、楽しみな存在だ。

ドラフトにはギリギリの年齢だが…

 最後に、独立リーグから移籍した二人の投手を取り上げたい。オイシックスの日渡柊太(富山GRNサンダーバーズ)は中部大時代、150キロを超えるリリーフ投手として注目され、卒業後は日本海リーグの富山で2年間プレー。今季からオイシックスに活躍の場を移した。ボールの勢いと鋭く変化するカットボールは魅力だ。

 くふうハヤテの宮路悠良(徳島インディゴソックス)は、3年夏に東海大高輪台のエースとして東東京大会で準優勝を果たした。東海大とミキハウスでは登板機会が少なかったものの、昨季は四国アイランドリーグの徳島で、リリーフを任されている。18試合に登板して1勝6セーブ、防御率1.71と結果を残している。少し制球はアバウトである一方で、徳島時代にスピードがアップしており、成長の余地があることを証明している。

 今年で日渡が25歳、宮路が26歳。ドラフト候補としてはギリギリの年齢となってきているが、リリーフ投手が苦しい球団も多く、ラストチャンスをつかむ可能性は十分にある。

 今回、取り上げた“6人の有望株”が今秋のドラフト会議で指名されるのか、今からぜひ注目して頂きたい。

西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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