「個人ゲーム開発で最初にオープンワールドを作らない方がいい」というアドバイスに“あえて背いた”ゲーム『Wake World』正式発表。開発者はやめときゃよかったとこぼしつつ頑張る

インディーゲームスタジオのPretty Potato Gamesは8月29日、オープンワールドRPG『Wake World』を正式発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、2026年に早期アクセス開始予定。開発者いわく「初の個人開発プロジェクトとして、オープンワールドRPGを作らない方がいい」という意見に、真っ向から背いたという意欲作となっている。

『Wake World』は、蒸気船で海洋と島を巡るオープンワールドアクションRPGだ。奇妙で朽ち果てゆく世界を舞台に、プレイヤーは謎めいた島々を巡り、失われた6つの遺物を追い求めていく。ソロプレイのほか、フレンドやランダムマッチングによる協力マルチプレイにも対応している。

本作で広大な海を航海する蒸気船は、単なる移動手段ではなく、住居であり活動拠点でもあることが特徴。広大な世界を探索して新しい島を発見し、蒸気船を拠点として島を探索することになる。島々を巡る中で、蒸気船を自由にカスタマイズすることも可能。蒸気船をアップグレードすることで、険しい海域すらも航海できるようになっていく。終盤には船に熱気球を取り付けることで、飛行船へと変化するという。さらに、海には怪物や敵対勢力も存在しており、ときには蒸気船の大砲を用いた海戦をおこなうこともある。

訪れる島々では、それぞれに異なるバイオームと垂直チャレンジ(vertical challenges)が存在。垂直方向の移動を乗り越えるようなゲームループが構成されており、山の頂上などに遺物が隠されているのかもしれない。島での戦闘は剣での近接攻撃やガードのほか、岩を生み出したり電気で麻痺させたりといった魔法も使用可能。レベルが上がれば使用できる魔法も増えていきそうだ。また、島では馬に乗って高速移動するといった要素や、キャンプなど簡易的なサバイバル要素、釣りのミニゲームも用意されている。

そんな本作が2026年に早期アクセス開始予定であることが発表された。早期アクセス開始時点で、コア機能と協力プレイ、5つの主要ゾーンが実装されており、15~30時間のメインクエストが用意されているという。早期アクセス期間は12~18か月が予定されており、正式リリースでは12~15のゾーンに拡張され、クエストやエンドコンテンツなどが追加される予定だ。

本作を手がけるのは、アイスランドを拠点とするPretty Potato Gamesだ。大手ソフトウェア会社でのエンジニアリング経験はありつつ、商業目的のゲーム開発経験のないCheap-Difficulty-163氏がほぼ一人で開発しているという。ところで初めてのゲーム開発では、数多くのゲーム開発者が、「まずは小規模のゲームを完成させるべき」というアドバイスをしている(関連記事)。そうした意見がある中で、同氏はRedditにて、「みんなから最初のプロジェクトでオープンワールドRPGを作るなと言われたが、それでも作った」と題して本作のトレイラーを投稿。初のプロジェクトとして、個人開発でオープンワールド作品をリリース予定であることは注目されており、トレイラーから垣間見える作品のクオリティにさっそく賞賛のコメントも寄せられている。

一方で、オリジナリティが不足しているという辛辣な意見に対して、Cheap-Difficulty-163氏は「もしやり直すなら(オープンワールドゲームではなく)小規模な非RPGを2つ作った方がいいと思う」と回答。つまり、まずは小規模作品から作った方がいいという先述したような通説が身に染みている様子だ。なおSteamDBによると、本作のストアページは2022年2月に公開されており、同年10月から2023年12月まで体験版が配信されていた。今回の発表では、当初のトレイラーからグラフィックなどが格段にクオリティアップしている様子が確認でき、本作の開発が苦難の道であったことがうかがえる。

なお、Pretty Potato Gamesからは2023年2月に『The Pyramid Of Bones』という無料作品がリリースされている。『Wake World』を開発する合間に、一つの作品を完成させる経験を得るためにリリースされたのかもしれない。興味のある方は、前作をプレイしてみるのもいいだろう。

『Wake World』はPC(Steam)向けに2026年早期アクセス開始予定だ。

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