レノボ製Androidタブレットが圧倒的シェアを誇る理由は、ヘッドフォン出力1つからカスタマイズできる柔軟さにアリ ~「でも、Androidは管理性やセキュリティに難ありでは?」は過去の話

レノボ製タブレット「Idea Tab Pro」

 法人・教育向けのタブレット市場において、かつてAndroidタブレットは競合に押され、厳しい戦いを強いられた。端末のハードウェアというよりも、OS自体のUIや機能がまだまだ未成熟だったことが苦戦した要因の1つなのかもしれない。

 しかし、そんな話も今は昔。ご存じの通りAndroid OSの熟成が進み、組織やエンドユーザーのあらゆるニーズに耐えうる機能・性能を獲得したことで、状況は大きく変わってきている。実際、ビジネスタブレット市場におけるAndroidの割合は急増しており、製造、飲食、小売、宿泊、教育など幅広い分野で活用されているのだ。

 そんなビジネス向けAndroidタブレット市場で実に8割近くのシェアを占めているのが、レノボの製品(2024年度、IDC調べ)。豊富なラインナップを用意しているだけでなく、リーズナブルな価格帯でありながら高いパフォーマンスを持ち、各企業の用途に応じてきめ細かいカスタマイズやサポートを行なっているのがその背景にあるという。

 早くからタブレットを導入した企業では、そろそろサポート終了を迎える端末が増えてきているだろう昨今。システム更新にあたり、「次はコストパフォーマンスに優れたタブレットを」と考えるのも妥当なタイミングだ。そこでレノボのAndroidタブレットを選ぶとどんなメリットやアドバンテージがあるのか、解説していこう。

 Androidタブレットが幅広い業種で用いられるようになったのは、チップセットなどハードウェアの性能向上によって動作の快適さが増したことも一因だ。だが、それ以上に、OSが継続的なバージョンアップで多様なハードウェアをサポートし、プラットフォームレベルで機能拡充やUI改善などが着実に進み、ビジネスニーズにもしっかり対応できるようになったことも大きい。

 端末を一元管理するMDM(モバイルデバイス管理)にも対応し、運用の効率化やコスト低減を図れるようにもなっている。その代表的な仕組みであるAndroid Enterprise Recommendedでは、デバイス単位の機能・アプリ制限など細かな制御も可能だ。実運用時の管理効率やセキュリティの高さを導入の前提条件としている組織にとって、Androidタブレットは採用しやすい状況になっていると言える。

 こうした中、レノボのタブレットは、Googleが規定する「Android Enterprise Recommended」の要件を満たす製品として公式に認定されていることなどもあり、すでに宿泊施設、小売店、飲食店やフードデリバリー、大手学習塾などでの導入が広がっており、建設や製造、輸送、医療などの分野にも浸透し始めているという。業種・職種に関わらず、移動時や外出先での作業のしやすさの面から、モバイルワークのキーアイテムとしてAndroidタブレットを活用しようという動きも見られるようだ。

レノボタブレットはAndroid Enterprise Recommendedの要件を満たす製品として公式に認定されている

 なぜ、それら多くの業界でレノボのタブレットが選ばれているのか?ポイントとしては「用途に合わせて選べる豊富な製品ラインナップ」および「ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズと、国内でのサポート・修理対応」といった点が挙げられる。

 レノボのタブレットの魅力の1つは、幅広い製品ラインナップだ。画面サイズだけ見ても、片手に収まるレベルの8.7型から、動画再生や文書編集が効率よく行なえる大画面の12.7型まで、多数のバリエーションを展開している。

レノボが提供する多彩なビジネスタブレット

 たとえば飲食店や小売店舗では、店員が使用する管理端末に向いた8~9型クラス、来店客が使用する注文端末に適した9~10型クラスが便利だ。より大型の10~12型クラスのタブレットは、オフィスや建設・製造現場のようなシーンで活躍するだろう。

 最新のラインナップでは、OSはAndroid 13以降を搭載し、Android 14や15、あるいは16へのバージョンアップにも対応する。メモリとストレージは最低でも4GBと64GBの容量、プロセッサもオクタコア(8コア)で、どのモデルも最新のAndroid OSを快適に動かせるスペックを持つ。

ハイパフォーマンスモデルの「Lenovo Idea Tab Pro」は現在Android 15で、16にも対応予定

 機種によってはLTE対応モデルとWi-Fiモデルから選択できる。バッテリが大容量のスタミナモデル、画質や音質にこだわった高性能モデル、素手で使えない環境でも操作性を犠牲にしないペン対応モデルなどもあり、さまざまな用途、業務内容に適応可能だ。

 以上のように、レノボはエントリーモデルからハイパフォーマンスモデルまでバリエーション豊かなラインナップを取りそろえている。が、これらのタブレットを「素」の状態で導入するだけでは企業にとっては不十分かもしれない。汎用的に使えるAndroidタブレットとはいえ、業種や用途に特化した設定が必要になることも少なくないはず。

 そこで、レノボでは柔軟なカスタマイズサービスを提供している。たとえば導入時のキッティングに関わるところでは、大量の端末を同一の設定で一括セットアップできるようにするカスタマイズはもちろんのこと、数台~数十台の小規模導入の効率化を実現するQRコードを用いた簡易なカスタマイズサービスも用意する。

 ソフトウェア面では、通常は搭載されていない機能を追加したり、反対に端末が標準で備える機能をあえて無効化したり、といったカスタマイズも個別に相談可能。もしくは、一部の国・地域の法令に従って制限を設けている標準機能を導入企業の地域に合わせて調整する、あるいはOSのアップデートをコントロールして安定的に使い続けられるようにする、といったさまざまなカスタマイズもできるという。

 一例としては、レノボ製タブレットはEU(欧州連合)の規定を満たすため、ヘッドフォン端子から大音量で長時間音を鳴らせないようになっている。これに対して、日本国内での店舗BGMサービス提供企業向け端末として導入するに当たり、この制限を外すというカスタマイズを行なったこともある。

 タブレット本体に企業や自社サービスのロゴを刻印して、オリジナル感を出せるような外観変更も可能で、特殊な利用シーンにも対応できるような専用ケースなどアクセサリの提供や、国内サードパーティとの連携も行なっている。

 たとえば建設現場などでは液体や粉じんがかかったり、落下の危険にさらされたりすることがあるため、高い防御性能や耐久性を実現する保護用ケースが求められる。そうした場合にレノボでは、要望に応じてパートナーと連携しながら一からアクセサリを開発することもあるのだとか。

 個別の案件に柔軟に対応しつつ最適なソリューションを提案できるのは、グローバルに展開する膨大な数の端末を製造し、デバイスの中から外まで知り尽くしているレノボだからこそと言えそうだ。

Idea Tab Proにパートナー企業との協力で開発した専用ケースを装着した状態
粉じんの侵入を防ぎ、落下によるダメージを軽減する耐久性能だけでなく、立てて使えるスタンドを内蔵するなど機能性も兼ね備える

 日本国内にサポート窓口を設けているのも強みの1つだ。導入前から日本語で安心して相談できる上に、導入後にトラブルが発生したときの端末の修理対応なども国内窓口で受け付けている。

 タブレット製品に関しては、追加費用のない標準サポートでも1年間の無償修理、90日間の電話による技術サポートが付帯する。法人向け有償保守サービスも提供しており、この場合は最大3年間の無償修理および電話での技術サポートに対応。費用は1台あたり6,800円(Entryタイプ・2年間保証の場合)からと負担は大きくなく、修理時の機材の往復送料も無料だ。

 それでは、レノボの数あるビジネスタブレットのうち、高性能なフラグシップモデルである「Idea Tab Pro」(参考価格6万円前後)の中身と実力をチェックしてみたい。

Idea Tab Pro背面

 Idea Tab Proはレノボタブレットでは最大となる12.7型で、大画面と高機能・高性能を求めるユーザーに向けた製品だ。SoCにはプレミアムグレードに位置付けられるオクタコアのMediaTek Dimensity 8300を採用し、8GBのメモリと128GBのストレージを搭載。Android OSは16へのアップグレードにも対応予定となる。

 ディスプレイは2,944×1,840ドットの3K解像度。高精細にもかかわらず144Hzという高リフレッシュレートで、残像感の少ない滑らかな表示を実現している。Dolby Atmos対応のJBLスピーカーを4つ内蔵しているため、映像もサウンドもハイクオリティだ。

高解像度写真を鮮やかに映し出す3Kディスプレイ
144Hzの高リフレッシュレートは画面の視認性や操作性の良さに直結する

 無線LANは帯域の広いWi-Fi 6Eに対応。最大1TB対応のmicroSDカードスロットに、1,300万画素(アウトカメラ)と800万画素(インカメラ)の内蔵カメラおよびステレオマイクも装備し、高速なWi-Fi通信をバックグラウンドに、写真・動画の送受信、オンライン会議をストレスなくこなせるだろう。バッテリは10,200mAhの大容量で、長時間利用にも不安はない。

最大1TBのmicroSDカードが利用でき、大容量データの保存にも対応
アウトカメラは1,300万画素、インカメラは800万画素で、画質にも不足なし

 外部インターフェイスにはUSB Type-Cと、専用キーボード接続に使えるスマートコネクタを備えている。Type-Cポートは主に充電やデータ転送に使えるものだが、DisplayPort Alt Modeによる映像出力と給電にも対応する。つまり、外部モニターとキーボードを接続して、PC的な使い勝手にすることもできるわけだ。

外部モニターとの接続設定。「拡張モード」を選ぶとまるでPCのような作業環境に

 その上で、Lenovo Tab Pen Plusによるペン入力にも対応する(法人向けはオプション)。4,096段階の筆圧感知と傾き検知に対応する、約35時間の連続使用が可能なアクティブペンだ。繊細なイラストを描くのにも使えるスペックだが、業務用途では手袋の装着が必須でタッチ操作が難しい現場での利用が多くなるだろう。

オプションのLenovo Tab Pen Plus

 その意味では、Idea Tab ProとTab Pen Plusの組み合わせによる、ミスしにくいタップ操作やシームレスな文字入力は注目ポイントだろう。画面にペン先を近づけると、タップ可能な画面要素(アイコンやボタン、Webサイトのリンクなど)が強調表示され、そのまま強く押し込めばタップ扱いになる。これによって分かりやすく、確実な操作が可能だ。

ペンを画面内要素に近づけると強調表示される。何をタップしようとしているのかが分かりやすい

 文字入力する際には、独立した手書きエリアのようなものが表示されることはない。画面内のフォームや検索欄など、文字入力する箇所付近から書き始めれば自動で手書きモードになり、文字認識されて入力欄に挿入される。もちろん日本語にも対応し、その認識精度はかなり高い。

入力欄付近からペンで書き始めると、自然と手書きモードに
手書きした文字が認識され、入力欄に文字入力される

 ベンチマークアプリによる端末の性能も見てみよう。マルチプラットフォーム対応の「Geekbench 6」を実行してみたところでは、下記のグラフで示したように、CPU/GPUともに比較的新しいミドルクラスのスマートフォンに並ぶ性能を確認できた。ビジネス用途では十分過ぎるパフォーマンスだ。

「Geekbench 6」の結果

 以上のような装備、性能を見ると、Idea Tab Proは移動の多いオフィスワーカーのサブノート的な使い方に向いている。この大型で高精細なディスプレイであればWebブラウジングはもちろん、オフィス文書の閲覧・編集もしやすいし、広い作業スペースが確保しにくい出先での作業やWeb会議にも対応できる。腰を落ち着けて作業したいときには、外部モニターや物理キーボードなどを接続するのもアリだ。

外部のモニターやキーボードなどをつないでPC風の使い勝手にすれば、本格的なデスクワークにも

 立ちながらの作業など、キーボードが使いにくい場面ではやはりLenovo Tab Pen Plusによるペン操作が便利。先ほど説明した通り、シームレスな文字入力は特筆もので、とっさにメモを取りたくなったときにも慌てず素早く手書き入力を始められる。日本語の認識精度も高いので、画面が狭くなってしまうソフトウェアキーボードの変換機能に頼らなくていい。このあたりの動作のサクサク感は、端末としての実性能の高さも影響しているように感じられる。

Tab Pen PlusはマグネットでIdea Tab Proの背面にくっつくので持ち運びもしやすい

 レノボではほかにも8.7型のコンパクトな「Lenovo Tab K9」や、高輝度10.1型ディスプレイの「Lenovo K10 Gen 2」、Snapdragon 8 Gen 3搭載のハイスペックな「Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)」といった個性的なモデルを用意している。追加で独自のカスタマイズも施せるため、あらゆる業務にフィットするタブレットに必ず出会えるだろう。

 そして、どのモデルも想定用途を難なくこなせる高い性能を持つにも関わらず、導入コストは低く抑えられる。長くAndroidタブレットの開発を手がけてきた実績と、ThinkPadを始めとするPC分野でも培われてきた技術力やサポート力によって、レノボが最適なソリューションを提案してくれるのは間違いない。

 サポートが終了するタブレットから移行する際や、新規に導入する際、想像よりコストがかかりそうだったり、現場での使い勝手に不安があったりするかもしれない。そんなときは、候補の1つとしてレノボのタブレットを検討してみてはいかがだろうか。

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