Snapdragon X搭載ノートPC、性能お得感すばらしすぎかも…注意点はあります

Image: 湯木進悟

ノートPCもスナドラチップで!

Androidスマートフォン向けチップとして最強性能とも評価される、Qualcomm(クアルコム)製のSnapdragonシリーズのプロセッサ。いまPC向けにも、Snapdragon Xシリーズのラインナップを搭載するノートPCが増えています。注意点さえ受け入れられれば、かなり選択肢としてありと思えるモデルに出会えるようになってきました。

スナドラ入ってるのお得感

AI PCの時代を迎えましたが、どうせ手に入れるなら、とりわけ高性能なタスクをこなせるモデルとして認定されている「Copilot+ PC」を購入したいという人は多いはず。ただやはりこのクラスになると、かなり値が張るのも現実でしょう。

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日本国内でSnapdragon X EliteないしはPlusCPUを採用したノートPCが続々と発売されるようになってから、早いもので1年半ほど。このところセールやキャンペーンを活用すれば、10万円前後で買えてしまうモデルを目にする機会が増えてきたり…。ボクは家電量販店の展示処分品ながら、Dell(デル)の「Inspiron 14 Plus 7441」を10万円以下でゲットできました。

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Inspiron 14 Plus 7441のCPUは、Qualcomm製Snapdragon X Plusプロセッサ。Intel製でもAMD製でもないチップを搭載しているおかげで、同じクラスのノートPCと比較すると、そもそも「スナドラ入ってる」なノートPCは、お得な値段設定のものが多い印象ですよね。

バッテリーもち抜群のCopilot+ PC

Copilot+ PCを購入したからといって、急にCopilotばかり使い、その優れたAI処理性能を実感できるようになったなんてユーザーは、それほど多くないかもしれません。でも、いざCopilot+ PCを利用してみると、一般的な作業でも快適すぎて、もう以前のPCには戻れないという印象を抱くことでしょう。

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作業中のCPU使用率は、これまでのPCでのイメージとして常に50%前後を推移していたものが、Copilot+ PCだと平均的に10%前後へ抑えられてしまう感覚です。カメラをオンにしてビデオ会議を進め、ブラウザも複数タブを開きつつ、プレゼン資料を画面共有するといった使い方でも、やはりCPU使用率は低いままだったのに驚きました~。

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もしかしたら、もっともお世話になるCopilot+ PCのAI機能は、リアルタイムにカメラ映像を処理してくれる「Windowsスタジオエフェクト」かも。背景をぼかして映し出し、明るさをバランス調整してくれるのみならず、いろいろ高度な設定が用意されています。たとえ目線を落とし、なにかを読んだりしていても、ずっとカメラから目をそらさず話しているかのように映し出す「アイコンタクト」や、カメラの前から動いても、常に中心に自分の姿を収めてくれる「自動フレーミング」は重宝するでしょうね。

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ビデオ会議中にカメラをオンにした途端、タスクバーには「スタジオ効果」を調整できるクイックナビゲーションが表示されます。ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなど、各ビデオ会議アプリにも、それぞれ似たような設定はあるものの、Windowsスタジオエフェクトなら全アプリで共通した処理設定が有効に。一度使い出すと、手放せない便利さ快適さがありますよ。

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どんなにバッテリーもちがよく思えても、いざビデオ会議で使い出すと、一気にバッテリー切れが近づいて冷や汗ものだったという経験は、だれにでもあるはず。Inspiron 14 Plus 7441でも、カメラオンのビデオ会議、画面共有、各種ブラウザやアプリのマルチタスクまで同時にという使い方へ移行すると、急速にバッテリーは消費されていきます。それでも、この利用スタイルのまま2時間以上経過しても、まだバッテリーが半分近く残っていたのにはビックリ!

互換性の問題を受け入れられるか?

Snapdragon XシリーズのノートPCは、AI機能バッテリー駆動時間の両面で、一般的なIntelやAMDのプロセッサのノートPCより優れているなんて評価が多いそうです。この評判は確かだと感じますが…。

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Windows 11マシンであることに変わりないものの、Snapdragon Xシリーズが採用しているのはARMアーキテクチャ。ほとんどの世のWindows PCがx86やx64ベースになっているのに対し、まったく設計が異なる「スナドラ入ってる」なPCには、ARM版Windowsが入っています。

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出荷時にデフォルトでPCに入っているアプリや、そもそものWindows 11の動作などは、アーキテクチャが別であることを感じさせず、これまで使っていた環境同じにしか見えないことでしょう。

でも、いざなにかソフトウェアやツールをダウンロードしてインストールするときには、ちゃんとARM版のものを選択する必要がありますよ。

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Windows on ARMの歴史は、古くは2012年に登場したWindows RTまでさかのぼります。まだWindows 8が全盛期のころの話。当時はARM版のWindowsだと使えないソフトが山ほどあり、大問題ともなりました。

いまは多くのアプリに、ちゃんとARM版も用意されていて、使えないものを探すほうが難しいくらいにはなってきた模様。ややパフォーマンスは落ちても、エミュレーションで実行させられるアプリケーションだってありますしね。

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では、まったく現在は問題なく「スナドラ入ってる」なPCを使えるか? そう問われると、やはり人には好みのソフトウェアや環境があって、そのすべてがARM版Windowsに対応しているわけではありません。

いまだにボクはメーラーに「Becky! Internet Mail」を利用していたり、ウイルス対策には「ZERO スーパーセキュリティ」を愛用しているのですが、ARMプロセッサには非対応とのスタンスのようです。

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もっとも個人的にビビってしまったのが、まさかの販売元のDellでも、非対応サポートツールがあったこと。

万が一のとき助けてくれるDell SupportAssist OS Recoveryツールが、Snapdragon Xシリーズのモデルでは動作しませんとのただし書きがありました。いまのところ、まだ再インストールが必要な状況になっていないので問題ありませんけど。

Image: ジャストシステム

ほかにも、人によってはATOKGoogle日本語入力の対応がまだなことにストレスを感じる方はおられるでしょう。ある意味、MacLinuxへ乗り換えるとき、当然のように通る非互換性問題ですけど、同じWindows OS(のはずの)のPCに買い換えたのに、こんなことがあるの? と感じるケースもあるかもしれません。

これを機会に、使えなくなるものを受け入れられるユーザーになってみるとよいでしょう。そう思えるなら、お得高性能Snapdragon XシリーズのノートPCは、きっとベストな選択肢となるはずです。

Source: Dell

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