最高時速250キロで走行可能、高速鉄道をお披露目 エジプト
(CNN) 独シーメンス・モビリティが先ごろ公開した高速鉄道車両により、エジプトでは近く旅行者や重要貨物の輸送が高速化される可能性がある。 写真特集:世界の高速鉄道10選 最高時速250キロで走行可能なシーメンスの高速列車「ヴェラロ」の新型車両が今月、エジプトのニューカイロで開催された交通物流展示会「トランスMEA 2025」で初公開された。 座席数489の高速列車41編成が、エジプトが計画する全長2000キロの高速鉄道網に投入される。シーメンスによれば、この鉄道網は国内の主要都市を3路線で結び、人口の約90%が利用可能となり、移動時間を最大50%短縮できるという。この計画は2018年に初めて発表され、同国のアラブ・コントラクターズとオラスコム・コンストラクションとの提携により開発が進められている。 車両群はドイツで設計・製造され、エジプトの厳しい砂漠気候に耐えられるよう最適化され、砂ぼこりや高温に対応する高度なろ過システムと冷却機能を備えている。 また9日には、シーメンスの近郊列車「デジロ・ハイキャパシティ」が、最高時速160キロでカイロ西郊に新設されたドライポート(内陸の積み替えターミナル)付近で初走行を完了した。 26万個のコンテナを収容可能なこのドライポートは、5本の鉄道線路を備える。また、「鉄道のスエズ運河」とも呼ばれる、紅海と地中海を結ぶ建設中の全長660キロのグリーンライン網の重要拠点となる。グリーンラインはスエズ南部のアインソフナからカイロ、アレクサンドリア、マルサマトルーフへとエジプト北岸沿いに伸びる。シーメンスによると、この新高速鉄道網により、エジプトの貨物輸送能力は46%向上する見通しだ。 エジプトのエルワジール運輸相はプレスリリースで、デジロの初走行について「エジプトの交通近代化戦略における画期的な瞬間」と表現した。 エルワジール氏は「この高速鉄道プロジェクトは乗客体験を刷新し、移動時間を短縮し、都市間の接続性向上に寄与するだろう」と言い添えた。 アフリカ大陸における高速鉄道網は、エジプトが最初ではない。18年にはモロッコで、最高時速320キロでタンジールとカサブランカを結ぶアフリカ初の高速鉄道路線が開業した。 ほかの高速鉄道プロジェクトも、アフリカの交通インフラに大きな変化をもたらす可能性がある。 ナイジェリアでは、ラゴスとポートハーコートを結ぶ全長4000キロに及ぶ600億ドル(約9兆4000億円)規模の高速鉄道網開発が進められている。同プロジェクトは、建設をナイジェリアのデサデル・ナイジェリアが、資金調達を中国聯彩石油投資控股集団有限公司がそれぞれ主導。ナイジェリア政府の発表によると、両社は8月に資金提供の証拠を提示した。デサデルのサミュエル・ウコ最高経営責任者(CEO)は、最初の1700キロ区間は最短3年で完成し得ると述べた。 アフリカ連合(AU)も長期的な高速鉄道構想を掲げている。 AUの「アジェンダ2063」の旗艦プロジェクトである「アフリカ統合高速鉄道網」は、23年に第1フェーズを完了。主要都市を鉄路で最適に結ぶ方法に関するマスタープラン策定と調査、17のパイロット事業の選定などが進められた。 高速鉄道が実現すれば輸送コストは40%削減され、今後数十年間でアフリカ域内の貿易が約15%から50%以上に拡大できる可能性があるとAUは見込んでいる。