「ピークオイル貿易」時代、トランプ政権で化石燃料の国際取引脆弱に

Nathan Risser

  • エネルギー供給の安定性が最重要課題となる「新ジュール秩序」形成

化石燃料の国際取引は2017年にピークに達し、エネルギー安全保障を求める各国が再生可能エネルギーや原子力発電への投資を加速させるにつれ減っていく。米投資会社カーライル・グループのジェフ・カリー氏が10日の調査リポートでこう予想した。

  エネルギー市場を巡りここ数十年間、石油の供給と需要のピークに関する議論が繰り広げられてきた。業界のリーダーらは今週、エネルギーの世界的中心地とされる米ヒューストンに集まり、S&Pグローバルの年次会議「CERAウイーク」に参加。化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に最も大きな関心が寄せられている。

  カリー氏によれば、化石燃料がすぐに姿を消すことはないが、世界は「ピークオイル貿易」の時代を迎えている。

  同氏は、化石燃料は便利だが、輸送が一段と脆弱(ぜいじゃく)になっており、そうした最新の一例がトランプ米大統領の貿易戦争だと指摘。各国は石油やガスの輸入を減らし、可能な限り再生可能エネルギー源に投資するよう迫られるとの見通しを示した。

  カリー氏はリポートで、エネルギー需要が増加し続ける中でエネルギー供給の安定性が最重要課題となる「新ジュール秩序」が形成されると主張。「化石燃料を起源とする国境を越えた世界のエネルギー消費の割合は17年にピークに達し、それ以来5%減少している」と説明した。

  米国が世界貿易の安全保障を大きく揺るがしており、シェール革命による石油採掘技術の進歩で石油の純輸出国となった米国は、外国からの供給への依存度が低下。同氏は8日のインタビューで、「世界貿易の守護者はもはや世界貿易を守るインセンティブを持たない」と述べた。

  石油・ガス貿易がなくなることはないが、化石燃料の輸入は風力や太陽光よりも阻止しやすいとカリー氏はリポートに記した。

  各国がより地域的なエネルギー源へと移行するにつれ、それに伴う貿易の減少により石油・ガス需要は減速する方向。米国は、豊富な国内供給を考慮すると、自国のエネルギーミックスが今後も化石燃料に偏ったものになる可能性が高い。

原題:Carlyle’s Jeff Currie Says World Has Reached ‘Peak Oil Trade’ (抜粋)

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