AIは本当に人類を攻撃するのか? 専門家が明かす「AI脅威論」の真実

配信


Page 2

──AIの能力の限界はどのように設定されるのでしょうか。田口 AIと言っても所詮は物理装置ですから、限界は物理法則によって定まります。情報処理は、言葉が難しくなりますが「エントロピー」と関係しています。メモリの中に信号を並べて次の計算をおこなうには、前の信号を消去しなければなりません。信号を消去する操作は、物理的なエントロピーの増大と等価であることが実験的にわかっています。しかし、エントロピーが増え過ぎれば壊れてしまいます。計算自体も物理過程なので、現在電力が不足して計算が制限されているのも、物理的な限界と言えます。無限に速く、無限に思考して、無限に賢くなることは、不可能です。限界は物理法則から来ます。──それを聞くと、人間の脳の省エネ性は驚異的ですね。田口 我々が使う化石燃料も光合成の産物ですが、人間は人工光合成すら再現できていません。生物がおこなっているさまざまな化学プロセスを再現できていない以上、人間の脳のようなエネルギー効率のよいシステムは作れていません。ハードウェア面で自然界に負けているわけです。──AIが自ら科学を進歩させる可能性はあるのでしょうか。

田口 AI自身が賢くなり、人間にはできなかった科学を推進する可能性はあります。人間の計算力が足りなくて量子力学レベルで光合成のシミュレーションができなかった問題をAIが解き、人工光合成を実現させるといった発展は充分に考えられます。

関連記事: