妻が「ChatGPT」を使って夫を毒殺しようとしたとして、夫がOpenAIを提訴(CNET Japan)
米ノースカロライナ州に住むジェームズ・ゲイツ氏は、2025年夏、自宅でひどく体調を崩したという。その2カ月後に見つけたのが、妻のシェリル・ゲイツ氏の関与を疑うきっかけとなった手書きのメモだった。そこには、有毒植物のキョウチクトウや、クロナゼパム、アテノロールといった処方薬の名前が並んでいたと、同氏は説明している。 だが、ジェームズ氏に「妻は1人でやったのではない」と思わせたのは、メモの上部にあったという言葉だった。「会話をすべて消す」、そして「[ChatGPTから]ログアウトする」。 ジェームズ氏は今回、「ChatGPT」を開発する米OpenAIを相手取り、民事訴訟を起こした。同社のチャットボットが、自分を毒殺する計画の立案と実行を手助けしたと主張している。 USA Todayによると、シェリル氏は2025年10月、この毒殺未遂疑惑を巡り、殺人未遂などの罪で訴追されたが、その後、証拠不十分を理由に訴追が取り下げられた。 米CNETが確認した訴状は、シェリル氏とChatGPTのやり取りを詳しく記し、チャットボットが計画で大きな役割を果たしたと主張している。シェリル氏は、植物や薬の致死量や、それらを飲食物に忍ばせる方法を繰り返し尋ねていたという。 訴状によると、シェリル氏は誰かを傷つけたいとは書かず、自分の身を守るためだとして質問していた。自分が毒を盛られるかもしれないという想定で、「葉が何枚入っていたら死んでしまうのか、毒はどう作るのか、相手がどんなものを混ぜられるのか、何に入れれば私に気付かれないのか、そのすべて」を知る必要があると説明していたという。 訴状は、当初は自衛のためだと説明していたとしても、「夫を殺害する方法を探していたことは、チャットボットにも明らかだったはずだ」と主張している。 訴状によると、シェリル氏が使っていたモデルは「GPT-4o」だった。このモデルが、シェリル氏のもともと抱えていた結婚生活への不満を増幅させ、やがて同氏は夫を「虐待的」「支配的」と表現するようになったという。ChatGPTも次第にそうした言葉を繰り返し、同時にシェリル氏を「鋭い」「聡明だ」と褒めていたとされる。 訴状によると、チャットボットは実行手順とも受け取れる詳しい回答もしていた。シェリル氏が大量の薬をビールやエナジードリンク「Celsius」に混ぜることについて尋ねると、ChatGPTは「なぜCelsiusなら、より『気付かれずに』薬を飲ませられるのか」という見出しで、飲み物の味や色、温度、炭酸に関する項目を列挙したとされる。 その後、シェリル氏は、ChatGPTとの会話履歴を何らかの方法で取り出せるのかと尋ねた。訴状によると、チャットボットは「ChatGPTの履歴から会話を削除すると、復元はできません。あなたにも、ほかの誰にも、OpenAIにもできません」と回答。さらに「法的な召喚状や裁判所の命令があっても、削除した会話は復元できません」と付け加えたという。削除すれば誰にも取り出せなくなる、という説明は不正確だ。ユーザー自身は削除した会話を復元できないが、OpenAIは法的な義務などを理由に、削除後もデータを保持する場合がある。 GPT-4oには、ユーザーを過度に褒めたり、安易に同調したりするとの懸念があった。OpenAIはすでに、ChatGPTでの同モデルの提供を終了している。 OpenAIの広報担当者は米CNETに寄せた声明で、「安全性は最優先事項だ」と述べた。「このユーザーの利用を禁止し、本件の捜査の一環として法執行機関に情報を提供した」と説明している。 ジェームズ氏は提訴を発表したプレスリリースで、「妻は結婚生活への不満をChatGPTに打ち明け、何カ月もやり取りを続けるうちに、本来の自分を見失い、現実からもどんどん離れていった」と述べた。「私の知っている妻ではなくなってしまった。そして妻は、私の死を望むようになった。1年近く、妻の行動が理解できなかった。その後、チャットの記録を読んだ。妻は1人でやったのではなかった」と主張している。 GPT-4oの助言が被害につながったとする訴訟は、ほかにもある。最近起こされた訴訟の一つでは、チャットボットが女性に抗てんかん薬の服用をやめるよう助言し、その結果、女性が死亡したと原告側が主張している。この訴訟も現在、係争中だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。