【日本ハム】新庄監督“高校野球”スペシャル「さすが横浜高校」万波中正が人生初2ランスクイズ
日本ハムが夏の甲子園開幕日に「新庄“高校野球”スペシャル」で3連勝だ。西武戦の3回1死二、三塁、新庄剛志監督(53)がリーグ2位の17本塁打をマークする万波中正外野手(25)に出したサインは、まさかの「2ランスクイズ」。これが見事に成功して一挙5得点のビッグイニングとし、試合を決めた。高校球児のお株を奪う戦術がハマり、今季最多タイの貯金22。首位ソフトバンクをぴったりと追走する。
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午後2時1分開始のデーゲームだったエスコンフィールドは、一足早く甲子園が開幕したような雰囲気だった。札幌白石高(北海道)の吹奏楽部が応援団とコラボ演奏。3回の攻撃では、報徳学園(兵庫)が発祥とされる高校野球でおなじみの応援歌が流れていた。
♪エッサエッサ、アゲアゲホイホイ、もーっともっともっと
「良かった。今日の応援は楽しませてもらいました」と言う新庄監督の采配も高校野球ばりに熱かった。
3回無死一塁では2球連続でバスターエンドランを仕掛けて成功。そこから水谷と郡司の適時打が生まれて3点を先取。そして1死二、三塁となり、満を持して「新庄“高校野球”スペシャル」が繰り出された。
打席の万波は「サインが出たときは半信半疑でした」と振り返った。1ボールからの2球目。出たサインは2ランスクイズ。驚きもあったが「でも、ありえるよな」。新庄監督が就任して4年間。たくさんの奇襲を、いろんな場面、選手で仕掛け、チームに植え付けてきたマインドが生きた。
万波はきっちり三塁前へ転がし、任務を遂行した。2ランスクイズどころか、スクイズ自体が「人生初っす」。ただ、今夏に春夏連覇を目指す横浜(神奈川)OBだ。「僕らの高校、小技の練習をめちゃめちゃする学校だった」。染み込んだ技術を、プロ野球の舞台で初披露。相手の一、三塁手が外国人選手で、2ランスクイズのような作戦に慣れていないことも考慮して勝負をかけた指揮官も「さすが横浜高校」とうなった。
夏の甲子園が「今日始まるって知らなかった」という新庄監督だが、勝負どころで高校球児のように自身の采配を完璧に遂行する選手たちに目を細めた。「一番いい作戦で1点ずつ取っていく。ああいう場面でしっかり決めてくれて『この4年間、やってきてよかったな』って思いますね」。着実に築き上げたチーム力で、首位ソフトバンクをピタッとマークする1勝をつかんだ。【木下大輔】
▽日本ハム水谷(3回に決勝打となる先制左前適時打。4回も右前適時打)「本日(ナゴパイナップルパークのアンバサダーとして)パイナップルの差し入れをチームにしたんですけど、(4回の)2本目はそのおかげで打てたと思います」
▽日本ハム郡司(4番捕手で2安打2打点)「札幌白石高校吹奏楽部の力が届きました」