Abemaやラジコは「どうやって儲けてる」?...20人に1人を狙って成功「フリーミアム戦略」の旨味(ニューズウィーク日本版)

ネット時代の価格戦略として押さえておかなければいけないのが、「フリーミアム」です。 フリーミアムとは、「フリー(Free 無料)」と「プレミアム(Premium 割増料金)」とをかけ合わせた造語で、基本的な商品・サービス品は無料で提供し、課金することで、無料では利用できない追加サービスや機能にアクセスできる、というビジネスモデルのことです。 フリーミアムという言葉は知らなくても、皆さんが日常で使用しているネットサービスやコンテンツの多くが、実はこの仕組みを取り入れています。「Google」「YouTube」「LINE」「Spotify」「クックパッド」「Zoom」......枚挙にいとまがありません。 なぜ、基本無料でサービスやコンテンツを提供しているのに、収益を上げられるのでしょうか。 インターネットの普及により、デジタルのサービスやコンテンツは、大量に配布するのにほとんどコストがかからなくなりました。そこで、無料でユーザーに提供することが簡単にできるようになったのです。 無料で提供されるという気安さで、人々はどんどん試してみようとします。「無料提供」という強みによって、企業は自社の商品・サービスを広く周知してもらうことができ、なおかつ幅広い層の新規顧客を獲得することができます。

もちろん、無料のサービス自体が魅力的であることは大切です。しかし、無料で享受できる以上の、より魅力的なサービスやコンテンツがあれば、ユーザーはお金を支払ってもそれを利用したくなります。そこで有料ユーザーを獲得することができます。 無料ユーザーをたくさん集めることで、有料ユーザーになる絶対数も増やすことができる、というのがフリーミアム戦略です。フリーミアムは、「無料ユーザーが95%、有料ユーザーが5%」の比率でビジネスとして成立する、と言われています。 フリーミアムでは、無料サービスでいかに認知度、知名度を上げられるかがとても重要です。つまり、より多くの人に知ってもらうことが大事。 それには、ユーザーが使いたくなるようなサービス内容にすることです。似たものがいくつかあったとき、競合他社の製品ではなく、こちらを選びたくなるようなものにしなければいけません。「こういうよさ、価値があるから、これがいい」と言ってもらえるようでなければダメなのです。 かといって、無料サービスが充実しすぎていると、ユーザーはそこで満足してしまい、有料のサービスを利用しようという意欲が湧きにくくなります。ですから、無料サービスとは明らかに差のついたプラスアルファの要素がなければなりません。有料サービスへと無理なく促す設計が重要なのです。


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ZOOM オンライン上でテレビ会議のようにミーティングができるWeb会議サービス「Zoom(ズーム)」は、コロナ禍にテレワークを余儀なくされる中、世界中で一気に普及しました。 無料アカウントで誰でも手軽に利用できること、面倒な操作を必要とせず、URLを送信するだけでコンタクトが取れ、送られた側はそのURLをクリックするだけで接続できるという利便性、他の通信サービスよりも接続が安定しており、通信クオリティが高いことなどから、瞬く間に浸透しました。 無料で接続する場合は「最大40分」という時間の制約が設けられており、有料プランにグレードアップすることで40分以上の継続使用が可能になります。 会議や授業等に利用するには、40分の制約がないほうが圧倒的に使いやすいことから、本格的なビジネス使用には自然と有料プランが使われるようになりました。 家族や友人とのコミュニケーション、短時間で済む打ち合わせなどの場合は、無料プランの利用で十分事足ります。多くの人がまずは無料プランで体験し、必要に応じて有料プランに移行するという形が自然とでき上がったのです。 ビジネスユースの多い有料プランでは、スクリーンシェアで画面の共有、ホワイトボードの共有と書き込み、ブレイクアウトルームなどの機能を利用することができ、質の高い会議が可能になります。 利用者が周りの人をズーム会議に誘うことで、どんどんいろいろな人に知ってもらうことができ、広告宣伝をしなくても認知度が高まり、さらに無料サービスと有料サービスの明確な差別化ができています。まさにフリーミアムのビジネスモデルの成功例です。

「radiko.jp(ラジコ)」は、スマートフォンやパソコン、スマートスピーカーで、ラジオやポッドキャストが聴けるサービスです。 無料で、今いるエリアで放送しているラジオ局の番組を聴くことができる他、聞き逃した過去1週間以内の番組も聴くことができます。また、ポッドキャスト番組の再編集版やスピンオフ、オリジナル番組などの音声コンテンツを楽しむこともできます。 有料プランに加入すると、国内のどの地域からでも日本全国のラジオ局の番組を聴くことができるようになります。さらに、過去30日以内に放送された番組を聴くこともできます。

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