三日坊主でも大丈夫。“すぐやる&続ける”脳に変える習慣(Tarzan Web)

自転車は漕ぎ出すとき、大きな力でペダリングする必要がある。同様に、何事もスタート時には大きなエネルギーがいる。そこで役立つのは、前日にちょっとだけ手をつけておく“前日着手”。 「運動ならウェアを用意する、語学学習ならテキストを机に置くなどを前日に行うとアクセス時間が短くなり、心理的な障壁も下がって10秒アクションへ移りやすい」 企画書作成のようなクリエイティブ作業でも前日着手は効く。ツァイガルニク効果が働くからだ。 これはタスクを未完で中断すると、完了したタスクよりも脳に印象的に記憶される現象。前夜、企画書に少しだけ手をつけてから眠ると、睡眠中に記憶が整理整頓されて翌朝閃きが生まれやすい。 3.「すぐやる」先のゴールを具体的にイメージしておく。

高すぎる目標を掲げると挫折しやすいけど、曖昧で感動を伴わない目標もまた習慣化の天敵。 「今年こそランニングをやろうかな」といった漠然としたゴールだと、最初の一歩を具体的にどう踏み出すべきかがわからない。 そこへ「週3回、5km走る」などと具体性を持たせると、「いきなりはムズいから、週3回の速歩からやってみようか」と現実的なアクションに移りやすい。 さらに理想的なのは、「海外でマラソンに挑戦し、歩かずに完走して仲間と喜びを分かち合う」といった感動を伴うゴールイメージを明確にすること。その感動を味わいたいという思いが原動力となり、未来へ向けて主体的に動こうという情熱がかき立てられる。

1.不快回避より快追求。「〜しなきゃ」よりも「〜したい」にする。 脳の超シンプルな行動原理は、「快」を追求し、「不快」を避けること。語尾が「〜したい」だと快追求、「〜しなきゃ」なら不快回避。「給料を上げたいから仕事を頑張りたい」は前者、「上司に叱られたくないから納期までに仕事を終えなきゃ」は後者だ。 「不快回避ばかりだと脳が疲れます。快追求を増やしましょう」 発想の転換で不快回避→快追求へシフトチェンジできる。前述の例なら「上司に叱られたくないから」ではなく「上司を喜ばせたいから納期までに仕事を終えたい」に変換すればいい。語学学習も「英語を学ばなきゃ」では不快回避系で続かないかもしれないが、「英語を学んで将来LAで起業したい」なら快追求で続きそう。 2.同じ場所・時刻に同じことをしてアンカリングを行う。 寝付きが悪い人は、寝室=眠るための場所と定め、他に何もしないとルール化すると入眠しやすい。これはアンカリングの効果。 アンカリングとは、特定の条件と行いを結びつけ、その条件を満たすと反射的に行動できるように環境を整えること。寝室と「眠る」という行動がアンカリングできたら入眠は促されやすいのだ。 「私は執筆を近くの喫茶店で行うと決めている。同じ場所で同じことを続けると“こうやればうまくいく”と脳に刷り込まれます」 自宅ならゲームはソファ、仕事はデスクと仕分けすれば、ゲームで仕事を中断する恐れも減る。時間とのアンカリングも有効。昇格試験の勉強→出勤前の朝時間などとルール化すると続けやすい。 3.消費・投資・浪費の3分割でタイムマネジメント。 お金の使い道には「消費」「投資」「浪費」の3つがある。家計簿をつけて、この3つにどのようにお金を使っているかを見える化すると、家計は整ってくる。 「それは時間でも同じ。“時間の家計簿”で時間の使い道を振り返ってみることも大切です」 時間における消費は、食事、睡眠、休息、仕事など、生活するのに欠かせない時間。投資は、資格取得や自己啓発、健康維持のための運動、人生を充実させる趣味などの時間。浪費は、消費でも投資でもなく、暇つぶしのための動画視聴やゲームに費やす時間だ。 仕分けしたら浪費をなるべく減らし、その貴重な時間を投資に振り分ければ、明日を良くする前向きな行動のルーティン化に使える。


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生活するのに不可欠な消費には手をつけない。基本プランは無駄な浪費を削り、投資へ振り向けること。ただし、人生には息抜きだって必要だから、浪費はゼロにしなくてもいい。 4.1か0ではなく、部分点を与えて自己肯定感アップ。 達成したイメージを明確にして何かを始めても、目に見える成果が出るのは少し先。それまでは結果ではなく、自ら定めた行動が続いているかどうかに焦点を絞る。継続が確認できたら、成功体験が得られてモチベーションは保てる。 そのとき重要なのは、「できたか」「できなかったか」という1か0か、オール・オア・ナッシング的な思考に陥らないこと。 「物事が100%思い通りに進むことはまずない。できなかった点に目を向けがちですが、できたところに注目して“部分点”を上げ、意欲の低下を防ぎましょう」 5km走るつもりで3kmしか走れなくても、サボらず3km走ったことを評価。100点ではないが、60点は取れたと捉えよう。 完璧を求めない。 5.「仮決め」でもスタートを切る。 フェイスブック(現メタ)を作ったザッカーバーグの名言に「Done is better than perfect」がある。日本語にすると「完璧を期すより、まずはやってみる方がいい」といった感じか。何事もパーフェクトにやろうとするのは、自らハードルを上げる愚行。完璧を求めると初めの一歩が踏み出せないし、継続なんて夢のまた夢。 「とりあえずのゴールを決めて行動を起こすことが大事。それを“仮決め・仮行動”と呼びます」 仮決め・仮行動に挑み、期待や予想を裏切る結果が出たら、軌道修正すればいい。着手すると側坐核が刺激されて意欲的になっているから、挫けずにその後も方向転換と試行錯誤が重ねられるので、真のゴールへ近づけるだろう。 6. 4領域の週イチノートで振り返りを行う。 目標を立て、実現に向けて動き出しても、やりっぱなしはNG。前述のように振り返りを行い、行動をブラッシュアップすべき。その手助けとなるのが、4領域からなる週イチの「振り返りノート」。 領域1には、この1週間で良かったことをリスト化。同じミスを避けるため、本来は嫌なことばかり記憶に残りやすい。それだと自己肯定感が下がるので、少しでも良かった出来事を記録するのだ。 領域2には、来週どう過ごしたいかを書く。予定ではなく「こうなったらいいなぁ」という希望的観測を記し、前向きになろう。 領域3では、いま不安に思うことを列挙。不安は放置すると大きくなるばかりで、目標達成を妨げる。不安の可視化で客観視して、その膨張化をブロックしたい。 そして領域4で来週のアクションプランを「仮決め」。それを「仮行動」へとつなげていこう。

毎日やるのは面倒だし、時間が経つと忘れることも多いから1週間単位でレコーディング。領域2も4も欲張らず3項目くらいまでに留める。

取材・文/井上健二 イラストレーション/森 優 取材協力/大平信孝

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