マクラーレンだけ異次元の速さ...F1タイヤの“汗”は隠し技術PCMの証拠か?「水注入」は否定(TopNews)
こうした中、マクラーレンのタイヤ優位に対して最も強く異議を唱えているのがレッドブルだ。チーム内部では、マクラーレンが「ピレリタイヤに水を注入しているのではないか」と疑っているという。 これに対し、マクラーレンのCEOザク・ブラウンは、マイアミGPで「Tyre Water(水入りタイヤ)」と書かれた水筒を持ち歩くことで、皮肉たっぷりに応じた。 FIA会長モハメド・ベン・スライエムも、レッドブルの抗議姿勢に釘を刺し、「ザクの意見に賛成だ。抗議するなら、そのコストはコストキャップに含めるべきだし、正当性が証明されない限り返金されるべきではない」と述べた。 さらにピレリのF1責任者マリオ・イゾラも「タイヤ圧や温度は常にセンサーで監視しており、バルブやその他の部位から水を注入すれば即座に検出される。現在のFIAの監視体制下では、事実上不可能だ」と疑惑を完全否定した。
しかし、新たな注目説が浮上している。ドイツの『Auto Motor und Sport』のジャーナリスト、ミハエル・シュミットは、マクラーレンが使用している可能性のある「潜熱蓄熱材料(PCM)」に言及している。 このPCM(相変化材料)は、固体から液体に変化する際に熱エネルギーを吸収・放出する特性を持ち、ブレーキ周辺の部品に組み込むことで熱管理に活用されている可能性があるという。 レッドブルは昨年、マクラーレンがプラクティス以外のセッションでもブレーキに温度センサーを使っていたと抗議していたが、シュミットはこれと関連づけ、「マクラーレンはFP3でアグレッシブなロングランを行うことが多く、他チームを大きく引き離している。極限条件下で何かを探っているのかもしれない」と分析した。 また、レース中にマクラーレンのホイールリム内側から“水分”が見られることがあるというレッドブルの指摘についても、「これはPCMが相変化する際に汗のように液体がにじみ出る現象ではないか」と仮説を立てている。 「突飛に聞こえるかもしれないが、少なくとも理屈としては成立するし、一定の証拠もある」とシュミットは主張。「レッドブルが“水”説をばらまいたのも、こうした背景があるのかもしれない」と続けた。
さらにシュミットは「仮に他チームがすでにマクラーレンの手法を把握していたとしても、模倣するのは簡単ではない」と指摘。レッドブルがすでに類似の材料をテストしている可能性にも言及し、フェルスタッペンが最近たびたび訴える「ブレーキの違和感」も、この実験に起因するものではないかと示唆している。 「タイヤ冷却との関連性を問われた際、クリスチャン・ホーナー代表は口を濁していた」とシュミットは結んでいる。