「核兵器の開発現場でナノ秒クラスの極短時間イベントを撮影する方法」をロスアラモス研究所が解説
原子爆弾を開発するマンハッタン計画の一環として創設されたロスアラモス研究所では、現在でも核兵器に関連する研究が行われています。そんなロスアラモス研究所が「ナノ秒クラスの極短時間イベントを撮影する方法」を解説しています。
The Dynamics of Dynamic Imaging | Los Alamos National Laboratory
https://www.lanl.gov/media/publications/1663/dynamics-of-dynamic-imagingロスアラモス研究所では核爆発を伴う核実験は行われていないものの、臨界前核実験を含む核兵器備蓄管理ミッションは現在進行形で続いています。この「爆発を伴わない核実験」で重要となるのが、臨界前核実験のナノ秒クラスのイベントを連続撮影する技術です。ロスアラモス研究所では「pRad」と「DARHT」と呼ばれる撮影手法が用いられており、記事作成時点では新たな手法である「Scorpius」を実施するための準備が進んでいます。
pRadは陽子ジオグラフィーとも呼ばれる手法で、ロスアラモス中性子科学センター(LANSCE)の粒子加速器から照射された陽子と7台の高速カメラを用いて閉じ込めチャンバー内の爆発イベントの連続写真を撮影します。写真は一度のイベントで20~40枚撮影可能で、物質の強度や圧縮性などの重要なデータを得ることができます。DARHTは2方向からの単一パルス電子ビームを用いてX線画像を撮影する手法です。2方向から同一タイミングで撮影することにより、3次元的なデータを得て詳細な分析が可能となります。
Scorpiusはネバダ国家安全保障施設(NNSS)で建設が計画されている加速器プロジェクトです。Scorpiusでは任意のパルスに分割可能な電子ビームを照射し、数百ナノ秒間隔で画像を撮影できるとされています。
ロスアラモス研究所は上記の撮影手法を用いることで、核爆発実験を行わずにアメリカの核兵器備蓄の安全性や信頼性を維持できるとアピールしています。
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